プロ野球の「現役ドラフト」が8日、開催された。出場機会に恵まれない選手の移籍活性化を目的とした同制度の実施は昨年に続き、今年で2回目。各球団で1人ずつ、計12人が新天地へ移籍したが、果たしてどの球団と選手が注目を集めることになりそうなのか。元ロッテの〝敏腕スカウト〟で本紙評論家・得津高宏氏が独自の視点で切り込んだ。
  
 ドラフト1位の投手が3人も〝放出〟されることになったのは、正直に言って驚きました。その中でも最大級のインパクトは、やはりロッテからDeNAへ移籍が決まった佐々木千隼投手(29)です。思わず古巣に対して「そもそも何でロッテは佐々木千隼を出したのか」と首をかしげてしまったほど、この日の結果を見聞きして目を白黒させてしまいました。

 プロ6年目となった佐々木千隼の今季は一軍登板が2試合のみでしたが、環境を変えればまだまだ十分に戦力になるはずです。三浦監督がどのように起用するかは来年の春季キャンプでその適正を判断されることになるでしょうが、制球力を兼ね備えた右腕はどちらかと言えば先発よりも、これまでのロッテ時代のようにブルペン要員として計算が立つと思います。

 もともと〝打たせて取るタイプ〟だけに、振り回してくるケースが少ないセ・リーグの打者のほうが意外とハマるかもしれません。2016年のドラフトでNPB史上最多の「5球団からの再指名」となり、そのくじ引きを外していたDeNAに移籍することになったのも何か運命を感じさせます。

 阪神から巨人に移籍した馬場皐輔投手(28)も17年のドラフト1位。今季も19試合に登板して2勝1敗3ホールド、防御率2・45をマークし、ブルペン強化に大きな戦力となるのは間違いありません。しかもキリキリ舞いにさせられた阪神投手陣の内情をよく知っているはずだけに、頭に叩き込まれている〝虎のデータ〟をチーム全体で有効活用することも可能になるでしょう。

 そしてオリックスは中日の17年ドラフト1位・鈴木博志投手(26)を獲得しました。オリックスは育成システムが盤石で、鈴木のように伸び悩んでいる若い選手を花開かせる土壌ができ上がっている。リーグV3を成し遂げたチャンピオンチームへ移籍することによって、心身ともにいい方向へリセットされるような気がします。

 一方で佐々木千隼を出したロッテは西武から愛斗外野手(26)を獲りました。勝負強い打者なので外野手を若い層でさらに強化したいロッテとしては、理にかなった補強になると考えます。同じく野手では巨人からヤクルトへ北村拓己内野手(28)が移籍しました。大型野手として期待されながら巨人ではなかなか芽が出ませんでしたが、打者有利の神宮を本拠地に山田や村上らセを代表する超一流打者たちとチームメートになることで吸収する材料もきっと多いはずです。心機一転、燕の北村として「大化け」する予感も漂います。

プロ初登板した内野手の北村拓己
プロ初登板した内野手の北村拓己

 それから最後に1つ、注文をつけたいと思います。今年の現役ドラフトは1巡目で終わってしまいましたが、これでは中途半端で「活性化」とまではいかないように感じます。やはり何が何でも最低3巡目までは必ず施行されるように今後はルール改正すべきです。元スカウトの1人として、そう切に願っています。