〝膿〟を出し切ることはできるのか。アメリカンフットボール部の薬物事件で揺れる日大の林真理子理事長(69)は4日に開いた会見で、大学の組織改革に意欲を見せた一方、その具体案は明示せず。世間の理解を得られたとは言い難い内容となった。そんな中、危機管理コミュニケーション学に詳しい東北大学特任教授の増沢隆太氏が改めて会見を徹底検証。〝謝罪のプロ〟による視点から問題点に迫った。

 最後まで歯切れは悪かった。林理事長は会見でアメフト部の薬物事件を巡る一連の対応を謝罪する一方で、引責辞任については否定。今後の組織改革に強い意欲を示したが、自らの口で具体的な改善策を説明する場面はほとんどなかった。

 この会見を受け、増沢氏は「失敗ではないが、当然成功でもない。何とも言いようのない中途半端な感じだった。会見をやらなければ批判されるので、会見をすることに意味はあったと思うが、会見をやったことによって、何か事態が進むとも思えなかった」とバッサリ斬り捨てた。

 渦中のアメフト部は廃部の方針を決めておきながら、林理事長は「まだ継続審議中」として最終決定を保留。一連の騒動は収束するどころか、むしろ混迷を極めている。増沢氏は林理事長に対して「林さんはあくまで外部の方であり、作家。経営者や教員でもなく、素人の側面が強い。こうなることは見えていた」と大学トップとしての資質に疑問を投げかける。

 前回8月の会見で林理事長は「私がお飾りの理事長という報道がされている。そのような評価をとても残念に感じている」と語気を強めていたが、増沢氏は「これが理事長就任直後ならまだしも、改革という一番の使命がありながら、結果として事件は起き、今回の騒動となった。経営責任を問われるのは当然であり、管理能力の限界みたいな部分が改めて出てしまったのでは」と理事長としての能力不足を指摘した。

 ただ、一筋の光が見えたと感じる場面もあったという。増沢氏は「学生スポーツ」のあり方が話題に挙がった点に注目し「日大に代表される私立大学のスポーツはプロみたいなもの。言い過ぎかもしれないが、勉強せずにスポーツだけやっていても許されるようなところもある。廃部に踏み切れないのは、看板スポーツなのでという面もあるのでは。だからこそ『特別扱いをやめませんか』というのは、非常に鋭いテーマだったと思う」。

 益子俊志スポーツ科学部長が会見で「今後、ただスポーツをやっていればいいということではなく、学生として学習状況もしっかり見ていく。学生生活も管理していく」と強い姿勢を示したことなどを高く評価した。

 いずれにせよ、日大の在学生の間からは大学のイメージダウンを懸念する声が相次いでおり、改革は待ったなしの状況。そのかじ取り役を担う林理事長の手腕が厳しく問われていくことになりそうだ。