【森脇浩司 出逢いに感謝(27)】近鉄入団3年目、初めて一軍の高知・宿毛キャンプに呼ばれました。節目で西本幸雄監督から言われたことは日記に書いていました。みんなを集めて言われたこと、個人的に言われたこと。お荷物と言われた球団がレベルを上げていき、連覇するチームになった。入団時の合同自主トレで名前を呼んでいただいたこともそうですが、3年目の春季キャンプで言われたことは忘れません。
これからみんながプロで生きていくうえでこのチームでレギュラーになること、例えばここにとどまらずに他の球団に行ってもレギュラーになれるようなものを常に描いてやらなきゃダメだ。監督やチームが代わった途端に試合に出られないでは本当のプロじゃない。どの監督、どのチームでも必要だ、と思われる選手を目指してやるんだぞと…。これは僕の教訓になっていますよ。
そのためには「ハードなキャンプでも細かなところまで神経を配れ。爪の長さにもこだわるくらい自己管理に神経を使え」と…。近鉄は個性的な集団でイケイケのイメージがあるかもしれません。でも実は細かいところまで神経が行き届いているから強い。僕の後の選手生活、指導者人生において外せない言葉になってます。
プロに入ってその都度のモチベーションがあった。一日一日が勝負。向き合ってくれたコーチに恩返ししたい。そして、西本監督のような大人になりたいと思っていた。この人の下で野球をやりたい、と思ったのがモチベーションになってましたね。だから3年目の一軍キャンプ、オープン戦では必死に食らいついていきました。
西本さんの肌に触れたいと思った。今みたいに軽くハイタッチできるような時代じゃない。語弊があるかもしれませんが、どうやって触れようかと思ったらホームラン打つしかない。ホームランを打ったら握手してもらえると考え、手袋を取って打席に入っていたんです。狙っていたわけじゃないけど、チャンスが来て、もしホームランになったら…と。だから3年目は手袋をしていません。実際に打った時はうれしかった。たかが1本でも1つの目標が達成し“よし、次も頑張るぞ”と。
宿毛は寒くて朝は霜柱が立つんです。西本さんは朝早くから来て打撃指導してくれるんですが、ティー打撃がしっかりできていなかったら「まだ分からんのか!」と怒られる。ノックバットを振り上げたこともあったんですが、不思議と僕は頭を「どうぞ」と出したんです。あこがれていた西本さんと3年目に多く接する時間がある中で、やはり素晴らしい人だと感じていました。この人にだったら叩かれても本望だなと…。ティー打撃でヘルメットをかぶってないし、実際には叩かれていませんよ。だけど、20歳の若者にそこまで熱心に言ってくれたんです。
いきなり試練が待ち受けていました。キャンプ中に右肩を脱臼してしまい…。











