【森脇浩司 出逢いに感謝(23)】佐々木朗希は1年目は二軍登板もせずに一軍に帯同させ、2年目は11試合に先発して3勝2敗、CSではファーストステージ初戦の先発を任せた。そして3年目の2022年4月10日のオリックス戦で、完全試合と19奪三振の日本タイ記録の偉業を達成した。

 高卒のドラフト1位がみんなそういうわけではなく、朗希に応じた育成法ということ。決して過保護ではない。朗希の場合は長い手足を生かした理にかなったフォームをしているので故障をより少なくするためにもっと足腰を強くする、体幹を強くする、大きくすることが必要になってくる。

 それを時間とともにやっていく。細身の体でボンボン160キロを投げたら体が持たない。軽四でアクセル踏んで130キロをずっと走れないけど、ベンツなら走れますよね。そういうことを踏まえての育成。160キロ超えの真っすぐを投げるんだからどこかで抑える(セーブする)。常に抑えるのではなく、現時点ではここまで、ここを目指すなら次はここまで、という過程は必要です。

 そういう2年間があっての3年目でした。だからといっていきなり完全試合ができて当然というわけではないですよ。その日は驚くべき結果でしたし、次回登板(4月17日、日本ハム戦)も8回までパーフェクト。朗希だって「甘く入ったらいかれるかも」という試合はもちろんあるけど、その2試合は前に打球が飛ぶイメージが湧かないくらい、ベースの上のスピードを感じました。

 僕も一野球人としてどこまで成長するのか、という気持ちは大きい。いくら親代わりで選手を見ているといっても親には勝てない。朗希が21年にプロ初勝利を挙げた時、震災でお父さんを亡くし、この世におられないのに「このボールは両親に渡したい」と泣かせるコメントをしましたよね。僕も心で息子のように思っていました。

 選手食堂やトレーニング室でもよく会うんですよ。彼はいつもご飯を茶わんに山盛りにしている。体を大きくするためにはまず食べることで、そういう意識の表れですよ。トレーニング、技術、体づくり、睡眠…。僕が食堂で「そんな山盛りにしなくても、おかわりすればいいじゃないか」と言っても「いやこれがいいんです」って。

 マウンドから捕手に投げるのは上手でも、マウンド付近でボールを捕ってから投げるのは上手じゃなかった。22年のシーズン終わりに「森脇さん、秋のキャンプはマンツーマンでお願いします」と言ってきた。残念ながら井口資仁監督とともに球団を去ることになったから実現はしなかったけど、野球に向き合う意識が高い好青年でした。

 22年の最終戦の10月2日、ロッテはソフトバンクに勝利して目の前の胴上げを阻止。しかし、その後のセレモニーで井口監督の口から…。