リンク外でも抜群の表現力は健在だった。フィギュアスケート男子で五輪2連覇を達成したプロスケーター・羽生結弦(28)の初となる単独ツアー公演「Yuzuru Hanyu ICE STORY 2nd 〝RE_PRAY〟 TOUR」が4日、さいたまスーパーアリーナで開幕。キレ味抜群のパフォーマンスで1万4000人の観衆を魅了した。唯一無二の存在感を示したが、故郷の宮城・仙台市が制作した観光PR動画でも異才ぶりを発揮していた。
白いマントを身にまとった羽生が姿を現すと、会場中の視線が一点に集まった。自らがゲームを通じて感じた世界をアンコールを含む12演目で表現。最後のスタンディングオベーションで感極まった表情を見せた主人公は「このストーリー自体で答えを出してほしいのではなく、考えてもらいたい。考えるというきっかけの1つであってほしいのがRE_PRAYという物語であり、作品だったかな」と振り返った。
羽生は人生の分岐点に立たされても、歩みを止めなかった。プロ転向後は2月にスケーター史上初となる東京ドームでの単独公演を成功させた。さらにダンス動画の撮影やファッションポートレートの撮影に挑戦するなど、日々活動の幅を広げている。直近では仙台市の観光PR動画にも出演。「本当に僕自身がこの街に帰りたいって思うように、また仙台市が世界の中でも一番帰りたい町になってもらえたらうれしい」との願いを込め、自身の経験をもとに仙台市の魅力を発信している。
仙台市側はかつて制作したポスターやパネルの老朽化が進んだこともあり、新計画をスタート。そんな中で動画案が浮上し、羽生に相談したところ、快く動画の撮影を承諾してくれたという。同市の担当者は「羽生さんは『仙台という土地がすごく好きでその魅力を伝えたい』と以前からおっしゃっていたので、お願いさせていただきました」と経緯を語った。
当動画は仙台市公式動画チャンネル「せんだいtube」でも配信されている。10月31日に公開が始まると、4日夜の段階で再生数は6万4000回を突破。SNS上では多くのファンから歓喜の声が上がる一方で、随所に羽生の〝アドリブ力〟も隠されていた。
同担当者は「こちらから完全なシナリオをお渡ししているわけではなく、取り上げていただきたい部分はある程度事前に話しましたが、細かい部分は羽生さんご自身の言葉で発言されています」と説明。「いろんなエピソード、例えば七北田公園では子供の頃に自転車の練習をしていたとか、そういったご自身の体験をもとにお話されています」と明かした。
肩書がプロに変わっても、心の奥深くに刻まれている〝仙台愛〟は不変だ。「アスリートとして限界に挑みながらも、いい演技ができるように、また頑張りたいなという気持ちに改めてなった」。羽生はこれからも故郷への思いを胸に走り続ける。












