唯一無二の〝サプライズ〟だった。フィギュアスケート女子で五輪2大会連続メダルの坂本花織(26=シスメックス)が13日、故郷の兵庫・神戸市内で引退会見を開いた。今後は選手の育成に努めつつ、アイスショーなどにも出演する予定。さらに会見の終盤には、同い年の一般男性との結婚をサプライズ発表した。坂本が憧れの存在と口にしてきた五輪2大会連続代表の鈴木明子さん(41)が取材に応じ、次なる一歩を踏み出すスケーターにエールを送った。
突然の告白に会場から驚きの声が上がった。坂本は会見の最後に「この場を借りて、もう一つ報告があります。私事ではございますが、先日結婚いたしました」と明らかにした。相手とは大学時代に出会い、5日に婚姻届を提出。「冷静に物事を考える方。でも、楽しむことを忘れず、一緒におもしろいことをしてくれる」と頬を緩めた。
坂本は昨年6月に今季限りでの引退を表明。複数の関係者によると、かねて引退会見での結婚報告を計画していた。完璧な〝仕掛け〟を成功させた坂本は「これがやりたかった」とにっこり。鈴木さんは「先日報告を受けてびっくりしたし、うれしかった。花織ちゃんがやりたかった演出だったので、本当にうまくいってよかった」と声を弾ませた。
良き伴侶を得た坂本は、新たな形でスケートと向き合っていく。30、31日にはアイスショー「ファンタジー・オン・アイス」(千葉・幕張イベントホール)に出演。プロ初のアイスショーは鈴木さんが一部の振り付けを担当することから、早くも共演が実現する。鈴木さんは「花織ちゃんが新たなスタートラインに立つことを応援する、祝福するようなショーにしたい。競技とは違う変化もあると思うので、一緒にショーをつくれることが楽しみ」と胸を膨らませた。
今後の坂本はアイスショーだけでなく、指導者としての学びも深めていく構え。4歳からスケートを始め、長きにわたり指導を受けてきた中野園子コーチが理想像だ。鈴木さんは「中野先生の存在は花織ちゃんにとって非常に大きい。厳しい指導のもとで育ってきたが、厳しい中にも愛情があふれていたと思うので、花織ちゃんも愛情の深い指導者になってくれるのでは」と太鼓判を押す。
坂本と鈴木さんは3日前に食事へ行き、多くの話題に花を咲かせたという。鈴木さんは「昔から憧れと言ってくれていたけど、一緒に乾杯ができるようになったのは、すごく私にとってもうれしいことだった」と満面の笑み。「現役を引退して、結婚もして、新たな人生が始まるが、より輝くものになるように、花織ちゃんらしい笑顔があふれてほしい」と期待を寄せた。
その坂本は約21年間の現役生活で3度五輪に出場し、4個のメダルを獲得。世界選手権では日本勢最多となる4度の優勝を果たした。
「いろんな悔しいとうれしいを経験してきた。ひと言で表せられないくらい、いろんな景色を見た」
日本をけん引した大エースは、自らのキャリアを多様な形で後輩たちに伝え、スケート界の発展に尽力する。













