名伯楽が新指揮官を下支えする。昨季から巨人入りした久保康生巡回投手コーチ(65)が来季も同職を務める。

 久保コーチは楽天やマリナーズなどで活躍した岩隈や元阪神の能見ら数多くの名投手を育て上げ、昨年10月に巨人入り。過去にも原前監督からコーチ就任を要請されていたが、ほかの契約のタイミングなどから都合が合わず「幻」に終わっていただけに、ついにかなった入閣劇だった。

 その指導力は1年目から周囲の期待通りに発揮された。投球フォームの改造を指南した横川や赤星らは飛躍のきっかけをつかみ、ファームで調整に苦しんでいた菅野に寄り添い、復活への活路を見いだした。

 ただ、チームは2年連続でリーグ4位に低迷。球団関係者によれば、久保コーチは「複数年契約」だというが、当の本人は「春先に戦力を整えることがまったくできなかった。一軍の結果に関して一緒に責任を重く感じている」と退任も辞さない覚悟だった。それでも、球団側から「今やっていることを、ある程度の骨格ができるまでやってほしい」と慰留されて続投を決意。阿部監督を中心とする新体制となり「強い投手陣を残したい。やり返したいという思いが強いです」と闘志を燃やしている。

 苦難の1年を経て、チームの悲願でもある「投手王国」の構築へ体制は整いつつある。今季は山崎伊や赤星、横川など20代中盤の投手たちが躍進。久保コーチも「底上げの1年になった。ここからもう1年、2年と成長していけば、課題としていた投手陣の世代間の断層が埋まってくると思います」と力説した。

 最年長の菅野から若き投手キャプテン・戸郷の間の年代が伸び悩んでいたことが投手陣の懸案でもあったが、その問題も改善傾向にある。

「冗談抜きに『投手王国』になります。これまでいろんな球団を見てきていますが、その中でも手応えがある現状になってきてます。(選手たちは)ギラギラしていますよ。本当にもう楽しみです」(久保コーチ)

 阿部新監督の下でも果たすべき使命は変わらない。新指揮官を支える「縁の下の力持ち」として、一人でも多くの投手を鍛え上げていく。