大学運動部を舞台にした不祥事が相次いでいる。日本大アメリカンフットボール部、東京農大ボクシング部は薬物事件で逮捕者を出した。また近畿大剣道部に所属する21歳の男子大学生は剣道部の同じ学年の部員に暴行を加えてケガをさせたとして傷害の疑いで逮捕されていたことも発覚した。いったい大学で何が起きているのか。

 近畿大は18日、剣道部に所属する21歳の男子大学生が今月5日未明、別の部員に暴行を加えた傷害の疑いで逮捕され、被害部員が死亡したことを受けて会見を行った。2人はほかの4人の学生と東大阪市内の飲食店で酒を飲み、店を出たあとに加害部員が暴行し、被害部員はくも膜下出血で病院に搬送され、16日に死亡したという。

 近大は会見でふざけ合いがエスカレートした結果だったとしたが、大学運動部を舞台にした不祥事は今年だけでも数多く起きている。その最たる例が日大アメフト部員による大麻事件だ。日大アメフト部の事件をめぐっては8月に1人逮捕され、今月も別の学生が密売人から大麻を購入した疑いで逮捕されているが、一部でほか約20人の学生が大麻を吸引していた可能性が報じられている。

 相次ぐ大学運動部での不祥事。なぜ、ここまで多いのか? 大学ジャーナリストの石渡嶺司氏はこう解説する。

「スポーツの強い大学の運動部の学生はスカウトされて来ている人が多い。高校時代は一番だった学生たちが、同じ部内でレギュラーになれるなれないといった優劣がハッキリしまう。がんばっても上に行けないとなると大学での目的を失い、一般の学生以上に落ち込みが激しくなる。これが大学運動部に不祥事が多い一因ではないか」

 長年、打ち込んできたことで挫折し、特待生で入学したため部を辞めるに辞められず、そのまま堕落して、違法行為に手を染めるリスクが高まるというワケだ。

 では海外の大学ではどんな対策をしているのか?

「米国の例を挙げると、全米大学体育協会(NCAA)という組織があり、ほとんどの大学が加盟している。この組織はザックリ言うと、ちゃんと勉強をして一定以上の基準を満たせなければその学生は練習禁止、さらにはチームの対外試合禁止といった措置を科してくるんです。スポーツだけに打ち込んでいればいいわけじゃない。そうして学生として身に着けるべき教養を学ぶ目的を持たせている」(石渡氏)

 実は日本でもNCAAを模した大学スポーツ協会という組織が2019年に発足した。しかし加盟大学は少なく、各大学運動部の活動を制限するペナルティーは設けておらず、それぞれの自主性に任せている状況だ。

 相次ぐ大学運動部の不祥事に、石渡氏は「日本の大学運動部の状況を改善するためにも、こうした組織が主導していくことが大事」と提唱した。