日大アメリカンフットボール部の薬物問題では、30~40人もの部員の関与が疑われる前代未聞の事態に発展し、同部のイメージが失墜した。麻薬に関与していない〝無実〟の部員にとっても、いばらの道となるのが就職活動だ。そこで体育会系学生の就活事情に詳しい京都先端科学大学の束原文郎准教授を取材。待ち受ける苦難と活路について聞いた。
学生日本一21回を誇る名門の行方は、混迷を極めている。薬物問題で30~40人規模の関与が疑われる一方で、第三者委員会の調査報告期限も当初の9月15日から10月へ延期。問題解決にはほど遠い状況だ。そんな中で迎えるのが就職活動だ。当然ながら、麻薬事件に関与していなくても日大アメフト部出身という肩書で企業側が採用をためらうケースが想定される。束原准教授も「あると思う」と厳しい見解を示した。
現在、アメフト部の活動は停止し、リーグ戦にも出場できていない。同准教授は「体育会系の学生約3300人を調査したが、人気企業への就職には優勝といった競技の実績よりも、スポーツに取り組む姿勢の方が大きな影響を与えた。リーグ戦から排除されることで『頑張ってうまくなる』という真摯な努力の向け先と成長の機会が奪われる」と指摘。採用面接の質問で「学生時代に力を入れたこと」は頻度が高いため、一連の不祥事により返答に困るケースが続出する可能性を危惧した。
〝無実〟の部員にとって厳しい道のりとなるが、わずかに希望も残されている。束原准教授は、2018年に発生した日大の悪質タックル問題で、当事者ながら実名で謝罪会見を行った宮川泰介(25)の対応を引き合いに出した。現在も、実業団の富士通フロンティアーズでプレーを続ける宮川について「彼は、企業からもかなりの引く手があったと思う」と語る。「立派な記者会見をして、逆に株が上がったのではないか。すごく難しい立場にあったが、大勢の報道陣の前で自分のやったことは間違っていたと言い、反省を示した」。苦難を受け入れ、正直に告白する姿が世間に受け入れられた例だと指摘した。
ただし、今回は麻薬取締法違反。疑いのある人数も多数だ。同准教授は「宮川君のようにはできないかもしれないし、知らなかったでは済まされないだろう。ただ、大麻に関わっていた学生と関わっていない学生では明らかに違いがある。自分を保ったのであれば、誇りを持っていい」と助言した。
いずれにせよ、真相解明が急務。学生アメフト界、そして日大生のためにも、まずは大学側の真摯な対応が必須となりそうだ。












