あの屈辱から1年、落とせない試合を制した。ソフトバンクは同率2位対決となった楽天戦(ペイペイ)に6―0の快勝。クライマックスシリーズ進出を争うライバルとの本拠地2連戦の初戦を取り、再びリードを奪った。3位に浮上したロッテとは0・5ゲーム差、4位に転落した楽天とは1ゲーム差。残り3試合のうち、楽天戦が2試合と直接対決で白黒がはっきりするだけに、価値ある1勝となった。

 チームの必勝の思いはヒシヒシと伝わった。試合前恒例の円陣の声出しで、藤本監督がナインにハッパをかける異例の光景があった。指揮官自ら気合注入。さかのぼること1年前の10月2日、優勝マジック1で臨んだ千葉でのシーズン最終戦を落とし、オリックスに勝率で並ばれ直接対決の差でペナントを譲った。後に藤本監督はこの日の屈辱を「10月2日、一生忘れんわ。みんな悔しかったと思うし、俺も悔しかった。目から変な汁が出てきた。野球人生で初めて変な汁が出てきた」と振り返り、屈辱を胸に刻んだ。特別な「10・2」。最大目標のシーズン優勝をすでに逃しはしたが、プライドをかけた戦いが続いている中で負けられなかった。

試合前の円陣で、ナインに話すソフトバンク・藤本監督(左)
試合前の円陣で、ナインに話すソフトバンク・藤本監督(左)

 オーダーにも執念が見えた。先月29日の西武戦で左太もも裏軽度の肉離れで欠場が続いていた周東を3試合ぶりに「1番・中堅」でスタメン起用。すると、その周東が初回に右前打で出塁。続く川瀬の犠打で二塁に進むと、3番・柳田の左前適時打で先制のホームを踏んだ。何より大事な先取点。手負いの韋駄天が出て、本塁をかけ抜ける最高の形でチームに勢いがついた。

 さらに中村晃の適時打で初回に2得点。複数得点を奪ったことが相手に大きなダメージを与え、完全に主導権を握った。打線は2、6、7回と効果的に加点。セーフティーリードを得た投手陣も零封リレーで見事に応えた。

 この勢いで今日3日の直接対決も制し、ライバルの息の根を止める。