これこそ〝リアル・ジャパンウェイ〟だ。ラグビーW杯フランス大会を最後に退任する日本代表のジェイミー・ジョセフ・ヘッドコーチ(HC=53)の後任に、代表OBから日本人指導者の起用を推す声が上がった。アルゼンチンとの1次リーグD組最終戦(10月8日)に敗れれば、その時点で2016年にスタートしたジェイミー・ジャパンは終わりを迎える。元日本代表が期待する次期HCにふさわしい人物とは誰なのか?

 ジョセフHCは7月にW杯後の退任を表明し、日本ラグビー協会は同月の理事会で同HCの申し入れを受理。その後、選考業務の一部をラグビー界において国際的な指導者採用実績のあるオジャーズ・ベルンソン社に委託すると発表していた。

 候補の絞り込み作業は進行中とみられる中、日本協会の土田雅人会長は9月28日にフランス・トゥールーズで取材に応じた際に「何も決まっていない。(話せることは)何もない」と語るにとどめた。ただ、オーストラリア紙「シドニー・モーニング・ヘラルド」は、日本協会が前日本代表HCでオーストラリア代表を率いるエディー・ジョーンズ氏と8月末にオンラインで面談したと報じ、復帰の可能性も取りざたされている。

 次は誰に強化を託すべきなのか。ある元日本代表は「日本人の指導者がヘッドコーチやアシスタントコーチをやっていくことも重要だと思っている」と発言。その上で、リーグワン横浜の沢木敬介監督(48)と同東京ベイでアシスタントコーチを務める田辺淳氏(45)の名前を挙げ「(それぞれ担当する)チームを強くして日本人コーチとしての質を上げてくれているので、そういう方に次の日本を任せてもらいたい。コミュニケーションの部分でも取りやすくなるし、戦術理解などがスムーズにいって強化にもつながると思う」と持論を展開した。

 沢木監督は、ジョーンズHCが指揮した2015年W杯イングランド大会で、コーチングコーディネーターとして南アフリカ戦勝利など日本の躍進に貢献した。16年に監督に就任したサントリー(現・東京SG)では16―17年、17―18年シーズンでトップリーグを連覇。20年から指揮を執る横浜では昨季、チームを過去最高順位となる3位に導いた。一方の田辺氏は、監督経験こそないものの、昨季の東京ベイ初優勝に寄与。次代を担う指導者として期待されている。

 これまでジョセフHCを含めて3代続いて外国人が指揮を執る。それ以前、故平尾誠二さんら日本人が指揮官を務めていたころは世界の強豪に歯が立たなかったが、19年W杯日本大会で史上初の8強入りを果たすなど状況は変わった。5月には、国際統括団体ワールドラグビー(WR)から最上位カテゴリーの「ハイパフォーマンス・ユニオン」のメンバーとして認められ、ティア1と呼ばれた強豪の10か国・地域と同カテゴリーに加わることになった。新たな方針のスタートとしては悪いタイミングではないだろう。

 日本協会の中には、海外とのコネクションを考慮して外国人HCを推す意見もあるというが、前出の代表OBは「そういうところは協会がサポートしてやっていくべき。優秀な指導者も輩出してこそ、世界基準だと思う」と力説。日本協会は、さまざまな要素を考慮する中で、どのような結論を下すのだろうか。