オリックスの山本由伸投手(25)が24日の西武戦(京セラドーム)で3年連続の15勝に到達し、ハーラートップを独走。最多勝利だけでなく防御率、勝率、奪三振でもリーグトップに立ち、史上初となる3年連続の「投手4冠」も射程圏に入れた。今季もケガなく無双ぶりを発揮してきたが、そんな山本の練習に取り組む姿勢に対し首脳陣とMLB関係者は2000年オフにオリックスからポスティングシステムで海を渡ったイチロー氏(49=マリナーズ会長付特別補佐兼インストラクター)の姿と重ねている。

 危なげない内容だった。リーグV決定後初めて先発マウンドに立った山本は7回を投げて3安打無失点、10奪三振の快投でハーラー独走の15勝目をマークした。奪三振数でロッテ・種市を再び抜いてリーグ1位の158とし、防御率1・26も同トップ。最高勝率も対象となる13勝以上を記録しているのは自身のみだけに現状で「投手4冠」だ。

 試合後に「三振数は抜いたり抜かれたりなんで何とか最後まで粘れるよう体調を整えて頑張りたい。いろんな方に支えられてプレーできている。感謝の気持ちです」と謙虚なコメントに終始した。

 ちなみに3年連続の15勝到達は2007~09年のダルビッシュ(日本ハム)以来、14年ぶり。球団では1976~79年の山田久志(阪急)以来、44年ぶりの快挙だ。

 この日はメジャー4球団のスカウトがネット裏から見守った。米メディアでは「ヤンキースが約300億円規模で獲得準備に入った」と報じられるなど今オフにポスティングシステムによるMLB移籍が濃厚視される中、早くも山本の“争奪戦”が激化しそうな雲行きとなっている。

 同じく“令和の怪物”ロッテの佐々木朗もMLBの注目を集めているが、この日のソフトバンク戦(ZOZOマリン)は発熱で先発を回避し「特例2023」で出場選手登録を抹消された。左わき腹痛から10日のオリックス戦(ZOZOマリン)で復帰したものの、続く17日の西武戦(ベルーナ)での登板と併せて2連敗中。CS出場を争うソフトバンクとの大一番での好投が期待されたが、またも戦列から離れる格好となった。一方の山本は5月にコロナ感染による抹消があったものの大きなケガはなく、9日のロッテ戦(ZOZOマリン)ではノーヒットノーランを達成するなど3年連続の投手4冠と沢村賞を射程圏に無双投球を続けてきている。192センチ、92キロの佐々木朗と比べて178センチ、80キロとサイズは小さいながら、その内容とコンディション維持に関しては対照的だ。

 ケガなく無双投球を継続させる山本について首脳陣の1人は「いつも1時間以上前から来て全体の練習が始まるまでしっかり準備をしている。もちろん体力的に強いというのもあるけど、準備への意識の高さがすごい。そこまで大きくないのにあれだけの力が出せて故障が少ないのは生まれつきの能力に加え、自分の体と向き合ってきたから」と分析している。

 プロ7年目で球界を代表する投手に上り詰めた山本だが、もともと入団時から柔軟トレに取り組み、試合後のケアも欠かさなかった。「若い時は面倒くさくておろそかになりがちだけど、入団時から今のベテランの平野(佳寿)のように取り組んでいた。ベテランは体が動かなくなってくるから必死に動かそうとする。彼は18歳、19歳の若さでそれをやっていた。休日とかチームが休みでも(球団練習施設の)舞洲に来ていた」(同)

 思い起こされるのがオリックス時代のイチロー氏の姿だ。前出首脳陣は「野手とはまた違うけど、イチローと共通している。誰よりも早く来て準備する。周りのコーチに何を言われることなく、1人で準備して取り組んでいた。由伸もそう。メジャーに行ってもそれを続けていけるタイプ」とみている。

 実際に山本に熱視線を送るMLB関係者の1人も「ヤマモトがケガをしない点は間違いなくストロングポイント。現段階で彼が爆発的な評価を集めているのは、かつてのイチローと同じようにコンディションを壊すことがなく、自らを律し続けているからに他ならない」と指摘している。

 オリックスの先輩である天才打者・イチローも日々の入念な準備でケガとは無縁の肉体をつくり、7年連続首位打者の輝かしい成績を残してメジャーに旅立った。山本も後に続こうとしている。