巨人の若きエースを支える「桑田氏の教え」とは――。巨人は8日の中日戦(東京ドーム)で先発・戸郷翔征投手(23)が自己最長となる延長10回140球を投げ、無失点。0―0でドローに終わり、11勝目こそ手にできなかったものの底なしのスタミナを見せつけた。ここまで故障知らずの右腕にはレジェンドエースのメソッドがあった。
大「戸郷コール」がドームに鳴り響いた。0―0で迎えた延長10回、すでに123球を投げていた戸郷がそのままマウンドに向かった。
先頭のビシエド、続く石川から二者連続の見逃し三振。これで11奪三振をマークした。この回も150キロ超の直球を投げ込み、10回零封。若きエースの魂の力投に応えるべく野手も奮起したが、あと1本が出ず無念のドローとなった。
試合後の原監督は「ナイスピッチングですね。何とか1点取りたいっていうところだったけど、なかなか重かったですね」と右腕をたたえた。
その戸郷は今年3月には侍ジャパンの一員としてWBCに初参加し、チームの世界一に貢献。ただ同じ日の丸を背負った侍投手陣の多くが調整を早めた影響もあってか、今年のレギュラーシーズンではケガや不調に苦しんでいる。
チーム内では守護神・大勢が右上肢を痛め、6月に離脱。湯浅京己(阪神)、佐々木朗希(ロッテ)、大谷翔平(エンゼルス)、ダルビッシュ有(パドレス)らも負傷に見舞われている。
もちろん山本由伸、宮城大弥(ともにオリックス)ら好調モードを維持する面々もいるが、その中でも規格外のタフさを見せているのが戸郷だ。8月3日のヤクルト戦(東京ドーム)では149球を投げるなど、今季3完投を記録。140球超えは、この日で実に4試合目となった。
それでも戸郷は「球数的にはもう1回投げられたけど、打順が回ってきたので、しようがなかったですけど」と振り返り、ケロリとしていた。
これほどの球数を投げ込んでも、一体なぜ右腕はケガと無縁なのか。昨季の投手チーフコーチである桑田真澄ファーム総監督は「戸郷には『平均球速なんてどうでもいい。MAXだけ見ておけばいい』と話した。カウント球は142キロでも三振を取る時に150キロ出せばいい。全球150キロだとその方が打たれる」と打ち明けている。
その上で「シーズンでの疲労度が違ってきたと思う。前は1試合でへたっていたのが投げ方を覚えた」とも続け〝抜く投球〟を覚えた右腕の成長ぶりに目を細めた。
戸郷も「去年たくさんいろんなことを教えてもらった。成績につながってきているんで、分からないところがあれば聞いていこうと思います」と桑田氏の指導に深く感謝している。
投手キャプテンを務める背番号20の存在が疲労のたまった中継ぎ陣にも貴重な休養を与えている。戸郷が無類の〝タフネス投球〟でチームを逆転CSに導けるか。大いに注目される。













