プロ大注目の高校通算140本塁打〝みちのくの怪童〟は、巨体に似合わぬ「テクニシャン」だった。
第105回全国高校野球選手権大会・第3日となった8日の第1試合で、花巻東(岩手)の佐々木麟太郎(3年)が大暴れ。宇部鴻城(山口)を相手に一発こそ出なかったが、先制点を含む3打数3安打1打点で、4―1の勝利に貢献した。184センチ、113キロの恵まれた体格から繰り出す豪快なスイングが持ち味の佐々木麟だが、同級生ナインが証言した学校生活での意外な一面とは――。
聖地の大観衆が見守る中「3番・一塁」で出場した佐々木麟は、初回二死から左前にチーム初安打。4回無死二塁で迎えた第2打席では、またしても左前に先制打を放った。5回二死二塁の第3打席は申告敬遠で勝負を避けられたが、7回の第4打席は三塁内野安打と、この日の安打はいずれも逆方向への打球となった。
豪快な一発こそお預けとなったが、岩手県大会では背中の張りで本調子ではなかっただけに、念願の初安打と聖地初勝利に「勝ちにこだわっていたので、まずはホッとした。内容と質にはこだわったが、結果は気にしていなかった。勝利に貢献できてよかった」と流れる汗を気にせず、じょう舌に話した。
チームとして8年ぶりの夏勝利。父でもある佐々木洋監督も「久しぶりに甲子園で校歌が歌えてうれしい」と目を細め、佐々木麟の状態については「ベストの状態ではないけど、県大会よりは怖がらずに振れている」とさらなる活躍に期待を込めた。
歴代トップの高校通算140本塁打を放ち、さらにその巨体から、豪快なイメージがある佐々木麟だが、同級生のナインたちは意外な一面をこう明かす。
体育の授業では野球以外のスポーツで同級生ナインと対戦することもよくあるが、卓球では力任せのスマッシュではなく、手前にちょこんと落とす〝技あり〟なサーブを放ったり、卓球台の端ギリギリにレシーブしたりする〝エッジショット〟を狙ってくるという。
あるナインは「野球の時はすごいバッティングをしますが、卓球ではいろんな小技を使ってくるんです。それもめっちゃうまくて、ボロボロにやられました」。
また、サッカーでは主にディフェンス役を務めるも、巨体を利したプレスをするわけではなく、テークバックを小さめにし、コンパクトなパス回しで相手を翻ろう。そこから細かいステップワークのドリブルで一気にかわしながら上がっていくのが得意なのだという。
ある選手も「細かくパスをつなぐことを心がけているように見えますし、野球の時のイメージとは全然違いますね」。いずれにしても周囲がよく見えていて、先の展開が読めていないとできないプレーだろう。
野球ではフルスイングで相手投手を圧倒しているように見えても…。この日の逆方向への3安打が示したように、決して力任せなだけではなく、試合の状況を見ながら考えたプレーができる。そうした佐々木麟の〝テクニシャンぶり〟も、プロのスカウトたちが高く評価する要因となりそうだ。












