機は熟すか――。ソフトバンクは2日の西武戦(ベルーナ)に0―2の完封負け。首位オリックスとのゲーム差が今季最大の「9」に拡大し、51試合を残して自力優勝の可能性が消滅した。打線が振るわず、屈辱的な2試合連続の零封負け。5回まで完全投球を許した獅子のサブマリン・与座にわずか2安打に封じられ、今季最短2時間8分で終戦を迎えた。

 不穏な空気が漂う中、、最初の一本を叩き出したのがリチャードだった。6回の先頭、4球目の外角スライダーを捉えて痛烈な左前打。塁上では淡々とした24歳の姿が印象的だった。続く周東は積極的に初球を狙ったが、鋭い打球が二塁手の正面を突いて併殺打。二死走者なしとなって甲斐に中前打が出るあたりに、ツキのない今のチーム状態が現れているようだった。

 厳しい現実が突きつけられた夜、試合後のリチャードの言葉に希望の光を感じた。「あそこでヒットは出ましたけど、あれが二塁打だったら、佑京さんのセカンドゴロで一死三塁になって、そこから1点入ってという展開もあったと思うんです。自分らしい打撃というか…。ヒットで満足はしていないです」。試合直後、その語り口は冷静そのものだった。この日が今季4試合目のスタメン。「空回りしがちなんで、いつも。集中するところは集中して、抜くところを意識してやっています」。ほどよく肩の力が抜け、以前までのシャカリキとは無縁の姿があった。

 チームは92試合を消化して、思い描いた理想のシーズンとはかけ離れた現実に直面している。ただ、どんな状況であれ次の試合はすぐやってくる。「試合前、監督から『結果を気にするなよ』と言ってもらった。三振もショートゴロも一緒。アウトはアウトなんで。自分らしい打撃を心がけたい」。選手には個性があり、チームから求められる役割がある。リチャードは紛れもなく天性のパワーヒッター。現在の主砲・柳田も自らの資質と役割を深く理解し、レールを歩んできた一人だった。系譜が途絶えれば、鷹の明るい未来はさらに遠のく――。本人の志と環境が整えば、大きく化けるはずだ。

 受け入れがたい惨敗の後、チームバスに乗り込む大きな背中はたくましく映った。