本格的な夏を迎え、高校生の子供や孫たちが“オープンキャンパス”に足を運ぶ季節がやってきた。子供にとってはキラキラした大学や専門学校を体験できる“心躍る”イベントかもしれないが、保護者にとっては「どんな学校を見学させればいい?」「どの学年で参加させるべき?」といった疑問が浮かぶ、謎に包まれた行事であることも確かだ。そこで今回は進学情報メディア「スタディサプリ進路」を提供する株式会社リクルートの専門家に、高校生たちの“学校見学事情”について聞いた。
「親御さんの時代にオープンキャンパスは主流ではなかったと思いますし、当たり前に参加するようになった現代には驚きを感じるかもしれませんね」と語るのは、リクルートのキャリア教育専門誌「キャリアガイダンス」で編集長を務める赤土豪一氏だ。
赤土氏は「今はオープンキャンパスへの参加が、高校で宿題になっていることが多いんです。先生としても進学先とのミスマッチを防ぎたい思いがあるようですね」と説明。高校生にとっては避けて通れないイベントになっているという。
さらに最近はオンラインでの体験企画を用意する学校も増えているというが、赤土氏は「やはりおすすめは現地に行くことですね」と直接足を運ぶことを推奨した。
「オンラインは学校までの移動時間がかからないという点で効果的ですが、志望校に悩んでいる子にとっては、リアルで体験した方が“アガる”側面もありますし、卒業後のイメージもグンと湧きやすいと思います」
また、高1・高2・高3のどの時期に参加すれば良いのかという点も悩みどころだ。赤土氏は「とにかく1年生からたくさん行ってほしいですね」と主張する。
「高校生向けの講演会でも、少なくとも3校は行ってほしいと話しています。まず本命の学校を見て、比較対象にもう1、2校見れば違いが分かるかもね、という意味なので、3校でOKということではないですが…」
そして進路に悩む子ほど、様々な学校を見学した方が得策だという。「大学か専門学校か、何の学問を学ぶのか、といった迷いがある子ほど、たくさん見ておくことがミスマッチの防止につながります」
また「テンションが上がって1校目で『ここだ!』となっちゃう学生もいますが…建物の新しさや学食のおいしさが全てではないですから、“内見”に慣れるためにも複数校見学してほしいですね」とも補足した。
それでは、子供の志望校よりレベルの高い学校を訪問することにも意味はあるのだろうか? 赤土氏は、「見学することでどうしても行きたくなって奮起するというケースはありますから、最初から度外視する必要はないかなと。それだけの“インパクト”がオープンキャンパスにはあります」と説明。多少の背伸びにも見合うメリットがあると語る。
加えて最近の事情として、「かつてのAO入試が『総合型選抜』へと、名称も内容も変わっていましてね。そこでは、例えば主体性や思考力、表現力など、学校側が求める力を多面的に評価しているんです」と指標が多様化していることを指摘する。
「仮に、今までの知識的な学力では届かなくても、入学して何を学びたいのか等のアピールを通じて、自分が志望する学校に入学できるチャンスはあります。今後もこのようなケースは増えていくと思いますし、現状の学力だけで諦めてほしくはないですね」
オープンキャンパスの効果については理解できたところで、それでも気になるのは「保護者も一緒に行くべきなのか」という点だ。赤土氏は、同伴での参加を「とても良いと思います」とした上で、「『何が良い』のか、周りに伝えるのが苦手な子もいますから、親子で同じ体験をして、その場で『どう思った?』などの会話ができることはいいですね」と分析する。
さらに現地での“リサーチ”も欠かせないという。「お子さんが緊張して聞けないことも、親であれば周りの在校生や学校職員の方に聞くことができますから。『何でここを選んだの?』『通学時間はどのくらいかかる?』と質問すれば、みんな喜んで教えてくれると思いますよ」。親世代ならではのずうずうしさも、進路決めには大いに役に立ちそうだ。
また意外に感じるかもしれないが、進学上の“お金の話”にも触れるべきだと赤土氏は語る。「学費や進学の費用について、家の外だからこそ話せる部分はあると思います。親御さんとしては隠したいとか、何とか頑張りたいという思いもあるかもしれませんが、親子で金銭的な感覚をそろえておくことはすごく大事かもしれませんね」
最後に直球の質問を1つ。興味がない子供をオープンキャンパスに参加させるにはどうすれば良いのか聞くと、赤土氏からはこんなアドバイスが返ってきた。
「『今度開催するらしいし、ちょっと行ってみない?』と提案するのが良いかもしれません。こうしなさい、ああしなさいと指示するとお互いにしんどくなりますからね。今のお子さんにとっては、命令するよりも“ゆるいススメ”の方が響くと思いますよ」
【スタディサプリ進路】株式会社リクルートが運営する、大学・短期大学・専門学校の情報を紹介するポータルサイト。学びの分野や地域から学校を検索することができる。オープンキャンパス特集は【https://shingakunet.com/openCampus/】。














