女子プロレス「スターダム」の林下詩美(24)が、盟友の思いを背負い猛暑の夏を駆け抜ける。開幕したシングルのリーグ戦「5★STAR GP」を白星発進したが、同じ「クイーンズ・クエスト(QQ)」の上谷沙弥(26)が「左ヒジ脱臼」の重傷で戦線離脱が濃厚に。この緊急事態に発奮した詩美は3年ぶりのリーグ戦制覇のみならず、米国遠征でWWEスーパースターから得た刺激を武器に、悲願のIWGP女子王座戴冠を果たす。
23日に開幕した5★STARのブルースターズ公式戦で、詩美は白川未奈に勝利。だが、レッドスターズから出場した上谷が中野との公式戦でアクシデントに見舞われた。リングを囲む照明塔によじ登り、約5メートルの高さから特大のプランチャを放った際に左ヒジを負傷。試合はレフェリーストップにより中野の勝利となった。
担架で運ばれた盟友に付き添った詩美は、上谷の気持ちが痛いほどわかった。詩美も2019年のリーグ戦期間中、練習中に右手小指を骨折し、途中離脱した経験があるからだ。
「試合後はずっと一緒にいたんですけど、気持ちも落ちていた。上谷の分も頑張らなきゃじゃないけど、自分も欠場した時に、周りの人に5★STARにかけていた気持ちを託したところがあったので。勝手にQQリーダーとしてパートナーとして、私が頑張らなきゃなと思いました」と表情を引き締めた。
ただし、5★STAR制覇の前にやるべきことがある。〝アイコン〟岩谷麻優が持つIWGP女子王座への挑戦を表明し、V1戦での激突が決定的になっている。昨年10月に行われた同王座の初代王者を決めるトーナメント準決勝で、詩美は岩谷に敗北。初代王座に就くことはできなかった。
再びベルトへの気持ちを駆り立てたのは、先日の米国遠征だ。北海道・東北シリーズを休み、7~21日まで米国にわたり、GCWマットで4試合に出場。拠点としたフロリダ州オーランドに滞在中は、元スターダムの紫雷イオことイヨ・スカイ、シェイナ・ベイズラー、ナタリアといったWWEスーパースターと対面する機会に恵まれた。
「イオさんは優しくて、車を運転してご飯の時とか送ってくれたりして。緊張しちゃっていっぱいは話せなかったのですが、イオさんは自分がスターダムに行こうと思ったきっかけの方なので、デビューしたてのころの気持ちを思い出しました」と振り返る。
練習をともにすることもできたそうで「練習着だし試合用の化粧をしているわけではないのに、存在感がすごくて。目指していたのはこの人だなって思いました。やっぱりイオさんと試合をするという夢はかなえたいと感じましたね」と目を輝かせる。
さらにシェイナの柔術教室に参加することもできた。「習ったことがないことをいっぱい学びました。一緒にスパーリングもしたのですが、自分の力不足な部分が体感できてよかったです。何もできなかったのに『力もあるし、プロレスもすごいよ、あなたは』と褒めてもらい、やってきたことが間違いでなかったなと感じました」
もう迷いはない。自信を取り戻した詩美が再びスターダムマットの頂点に立つ。












