【グラゼニ球論・金村暁】これも12球団最多の14個の貯金が成せる業かもしれません。阪神は23日から2位・DeNAとリーグ戦を再開しますが、驚かされたのは、初戦を16日のソフトバンク戦で中継ぎから先発転向したばかりの助っ人ジェレミー・ビーズリー投手(27)に託したこと。前回は4回1失点。彼には失礼かもしれませんが正直言って、試合がどう転ぶか分からない部分があるのも事実です。それでも岡田監督は、7月のオールスターまでの中期的なやり繰りにおいて「金曜は(火曜日からの)6連戦の4戦目」とし、基本、該当週の2カード目となる週末3連戦初戦を、現在は二軍再調整中の桐敷やルーキーの富田、西純など、いわゆる先発ローテ候補の〝チャレンジ枠〟に位置づけました。

 一般論ではそもそもシーズンではカード初戦にあたる「金曜」は3連戦で最も、長いイニングや勝算を計算できるエース格をぶつけてくるのがセオリー。そこをあえて先発の実績に乏しい面々でまかない、かつ勝機を見いだそうという〝攻め〟のマネジメント。この曜日にあたる23日のDeNA、30日の巨人とともに交流戦で調子を上げ、リーグ戦再開を2、3位で迎え「打倒・阪神」で、なおさら前がかりで挑んでくることが予想され、7月のヤクルト戦を含め、球宴までの金曜の3試合はチーム浮上の、大きな鍵を握ると思います。

 当然、リスクもあります。敵はおそらくカード初戦には投手陣のなかでも柱に位置づけるエース格を送り込んでくる公算が大きいためです。とはいえ、シーズン中盤を迎えてもなお、こういった〝冒険〟ができるのは、ここまでの豊富な貯金と、リーグ再開後、週初めの火曜日から西勇→大竹→村上→(金曜)→伊藤将→才木と並ぶことが濃厚な他の先発陣の安定感があるからこそ。ここまで先発陣は64試合でQS(クオリティー・スタート=先発で6回3失点以内)が42試合。シーズン後半へ、岡田監督がさらなる戦力の上積みを球宴前まで金曜日に得る展開になれば、悲願のアレ(優勝)への確率は水面下でグッと高まることになるのではないかと思います。

(本紙評論家)