【異業種で輝く元プロ野球選手】元虎投コンビが「お肉激戦区」で奮闘している。5月12日に神戸・三宮で阪神OBの加藤隆行さん(40=2000年、長崎工からドラフト5位入団)、岡本浩二さん(41=1999年、東邦高からドラフト3位入団)が「神戸ビーフ焼肉 お加虎」をオープン。入団1年違いの先輩、後輩がタッグを組み、肉の本場に殴り込みをかけた。

 マネジャーは加藤氏。もともと、神戸市内でモツ鍋居酒屋を12年継続。成功を収めていたが、昨年6月に周囲の反対を押し切ってラーメン店に業態を変え、リスタートしていた。

「夜中までの居酒屋は体の負担も大きかった。(12年から始めた)子供たちの野球指導に力を入れたい気持ちも強くなり、業態を転換しました」

 モツ鍋居酒屋の営業は真夜中までに及んだ。だが、ラーメン店は午前中から午後11時の営業時間。生活スタイルを改善し少年野球の指導により注力したかったという。それではなぜ、負担が増える焼き肉店への挑戦に踏み切ったのか。

 ラーメン店を継続しながら、新たに3階建てのビル1棟、80席を超えるキャパの焼き肉店をマネジメント。大事業にはリスクもつきまとう。一人での実現も難しい。そう思った時、ラーメン店のカウンターに岡本氏が現れた。実に17年ぶりの再会だった。

「一緒にやりましょう」。食肉関連の会社に勤務経験もある岡本氏はラブコールに応じ、前職を1か月後に退職。信頼の置けるメンバーがそろい、新たな挑戦へつながった。

 2人に共通することは190センチ近い長身と、NPBでは未勝利の投手という点。球界では結果を残せなかったが、若くして社会にもまれてきたことをプラスに、事業に取り組んでいる。

 岡本さんは東邦高時代は朝倉健太(中日投手、コーチ、編成担当)とダブルエースと言われ、4番打者も務めた大型選手だった。

「二刀流なんかではなく、どちらもちょっと足りない選手でした。しっかり自分自身で決着をつけられずにやっていたところがあった」

 現役時代は不完全燃焼に終わった。だが、今は違う。目標に対してのブレはない。後輩とともに店を成功させ、少年野球の指導でも「迷っている子を助けてあげられれば」と決意を新たにしている。

「お加虎」コンビが目指すところは、再現性のある事業ノウハウの確立と、それを将来のアスリートにつなぐということ。少年野球の指導も両立させるためには、飲食業も成功させなければいけない。

 最大の目標は「教え子が阪神タイガースの優勝投手になること」。食育も野球の技術指導も一手に担い、次世代に夢を託している。