新日本プロレス、全日本プロレス、ノアの合同興行「ALL TOGETHER AGAIN 元気があれば何でもできる!」が9日に両国国技館で行われた。2012年2月以来、実に11年4か月ぶりの復活となったATの第3回大会メインには、各団体のトップ選手が一堂に会した(棚橋弘至=新日本、宮原健斗=全日本、清宮海斗=ノア組対オカダ・カズチカ=新日本、拳王=ノア、青柳優馬=全日本組)。最後は“レインメーカー”ことオカダが棚橋をフォールしてメインを締めくくった。それでも棚橋組の3人同時ドロップキックは最大のハイライトとなった。
第1回大会は11年8月27日に東日本大震災復興支援チャリティープロレスとして東京スポーツ新聞社主催で実現。3団体のオールスター戦は、日本武道館に1万7000人超満員札止め(主催者発表)を動員して場内を大興奮させた。原点はもちろん東京スポーツ創設20周年記念大会として行われた1979年8月26日、日本武道館の「プロレス夢のオールスター戦」である。
メインはジャイアント馬場、アントニオ猪木のBI砲が約8年ぶりに復活。アブドーラ・ザ・ブッチャー、タイガー・ジェット・シン組を撃破して大観衆を沸かせた。しかし他の試合は新日本、全日本、国際の3団体が初めて一堂に会したとあって、選手間には異様な殺気が漂っていた。本紙OBでプロレス評論家の門馬忠雄氏は「夢のオールスター戦は3団体がお互いに生き残りをかけた“企業戦争”で“争”の戦いだった。ATは“和”であり“輪”の戦いになった」と語る。
しかしそんな中にも現在のATに通じる“和”の試合があった。セミ前に行われた6人タッグ戦、藤波辰巳(現辰爾=新日本)、ジャンボ鶴田(全日本)、“仮面貴族”ミル・マスカラスの3人が夢のトリオを結成した豪華カードだ(対戦相手はマサ斎藤、高千穂明久、タイガー戸口)。まさに各団体のエース格が6人タッグで共闘するATの未来を提示するような試合だった。マスカラスの一時的な“造反”はあったものの“飛行トリオ”は鮮やかな連係で場内を沸かせた。
『“飛行トリオ”が見事な編隊飛行で鮮やかな勝利を決めた。藤波が斎藤へドラゴンロケット。鶴田は戸口のノド元にヒジ打ちをさく裂させてロープに振った。そして待ち構えていたように“トリプルロケット弾”。ドロップキックの競演だ。鶴田が高千穂にネックブリーカードロップ、ロープに振りマスカラスのフライングボディーアタックを誘発した。斎藤がバックドロップからマスカラスをはがい締め。戸口がタックル、高千穂も続いたが、マスカラスが左へ逃げたため斎藤と正面衝突。大の字の斎藤。マスカラスが飛んで肉弾ダイビングプレスで斎藤をフォールして“飛行トリオ”が高さで勝利をものにした。鶴田は「本当は3人が飛んだところで勝負をつけたかったが、まあよかった」、藤波も「マスカラス、鶴田とは初めてだったが驚くほど呼吸が合った」と語った』(抜粋)
この試合には憎悪や因縁はなく、きらめいたスター同士の競演というだけでファンを熱狂させた。門馬氏は「あの試合だけギスギスしたものがなかった。今のATに通じるものがあったんじゃないかな。今回も素晴らしい大会だったし、現代のプロレスには“和”の大会があっていいと思う」と第3回ATを見終えた後に語っている。
その後、時を経て3団体のエースによる合体ドロップキックはATの“代名詞”となった。鶴田、藤波、マスカラスの夢の競演は、ATのルーツとも呼べる奇跡的な名勝負だったのだ。(敬称略)













