〝鉄人〟が描く五輪への青写真とは――。卓球の全農カップ平塚大会最終日(7日、トッケイセキュリティ平塚総合体育館)、女子決勝は早田ひな(22=日本生命)が張本美和(14=木下アカデミー)を4―2で下し、優勝を果たした。パリ五輪の第4回代表選考会を兼ねた大会で強さを示す一方で、早田をはじめとするトップ選手は国内外の試合を転戦中。疲労がたまった状態で試合に挑んでいた。選手や関係者からは不安の声も上がる中、全日本女王は着々と夢舞台に近づいている。

 本調子でなくても、きっちり勝ち切るのがエースの真骨頂だ。大会初日(6日)の朝は「感じたことのないくらい体調が悪かった」と話すなど、疲れはピークに達していた。それでも、横井咲桜(19=ミキハウス)、長崎美柚(20=木下グループ)、張本と年下の有望株に格の違いを証明。早田は「体調面で今まで経験のないことが起きて焦りが出たが、しっかり試合に集中することができた。これは逆に自信を持っていいと思う」と収穫を口にした。

 日本協会はパリ五輪に向けて、国内選考会を中心とした独自の選考方式を策定。来年1月の全日本選手権を終えた段階で、上位2人がシングルス代表に決まる。しかし、選考では世界ランキングは反映されないため、トップ選手は世界ランクを上げるべく、国際大会にも随時出場している。

 ある卓球関係者は「以前まではいいペースで試合と練習の間隔を調整できたけど、今は国内の大会と海外の大会のどちらにも出ないといけないので、本当に選手のケガが心配」と本音を吐露。早田も例外ではなく、日々ハードスケジュールをこなしている。

 選考方式を巡っては、かねて選手や関係者から疑問の声が上がっていた。とはいえ、パリ五輪までは約1年2か月。別の卓球関係者は「今さら状況を変えることはできない。どの選手も状況は同じ。だからパリのために、ケガに注意しながらやっていくしかない」と語っており、各陣営が対策に腐心している。

 そんな中、早田は着々とポイントを獲得して〝鉄人〟ぶりを発揮。今大会の優勝で100ポイントを追加し、332・5点で選考ランキングでトップを独走中だ。現段階で2位の平野美宇(23=木下グループ)とは125・5点差をつけており「8か月の間で全部パリ五輪につなげられるぐらいの点数を獲得できれば、選考会に出ずに強化期間を設けたい」と選考会をスキップするプランも明かしている。

 もはや、パリ五輪出場は大前提。練習と休養を上手に使い分け、本番へ向けて効率良くレベルアップを図るのが狙いだ。1日には五輪3大会連続メダルの石川佳純(30=全農)が現役引退を表明。同じサウスポーの後輩である早田が、日本の〝大黒柱〟の座を引き継ぐつもりだ。