若きエースが大仕事だ。巨人は11日の阪神戦(東京ドーム)に7―1で快勝し、連敗を5で止めた。投の立役者は7回無失点の快投で今季2勝目を挙げた戸郷翔征(23)だ。昨季は自身初の2桁勝利をマークし、開幕前のWBCでは侍ジャパンの世界一奪回に貢献。次々と自分の殻を破り、進化を続ける背景には現代のスポーツ科学とは逆行する超偏食の〝年中チートデー〟があった。

 圧巻の投球だった。序盤からテンポよく投げ込み、猛虎打線に二塁すら踏ませない無四球の快投。リードが1点だった7回に一死満塁のチャンスで打席が回ってきたため、代打を送られて退いたが、戸郷の活躍なくして連敗ストップは成し得なかった。

 殊勲の男は「チームが勝てれば一番。チームが苦しい時も先発で支えていけたらなと思っていたので、それが実行できて良かった」と笑顔をみせ、原監督も「非常にリズムがいい投手ですし、WBCに行って1つ2つ大きくなって帰ってきたなと。これから先、さらに若武者として期待したい」とさらなる飛躍を願った。

 年々、頼もしさを増す戸郷だが、高卒2年目の2020年から2年連続で9勝止まり。〝2桁の壁〟にハネ返され続けたが、昨季はついに12勝(8敗)を挙げて殻をぶち破った。勝ち星を伸ばせなかったのは相手との兼ね合いもあったが、まだ成長段階だった自身の肉体にもあった。184センチの身長の割にはスラッとした体形。馬力やパワーの源となる体重をなかなか増やせず、シーズン中も維持することに苦慮した。それが昨季はチーム内からも「尻回りや首のあたりもひと回りデカくなった」との声が相次いでいた。その秘けつは戸郷の一風変わった食生活にあった。

「好きなもんばっかり食べるんですよ。夜に肉と一緒にご飯とかを何合も。釣りが好きなので年末に釣りに行くんですけど、魚はその時に1年分くらい食べちゃうから飽きちゃうんですよ」(戸郷)

 年間を通じて肉料理を中心とする好物を胃袋に放り込み、オフには魚の〝一辺倒〟。日々バランスのいい食事を摂ることが推奨される昨今のスポーツ界では珍しいスタイルだったが、チームの柱となるために〝チートイヤー〟とすることで体の基礎をつくり上げることに成功したのだ。もっとも、先のWBCではダルビッシュ(パドレス)から投球術以外にもサプリメントの知識なども吸収し、また一歩ステップアップしたが…。

 今季は13イニング無失点で防御率0・00。「まだ開幕して2試合。あと20何試合投げないといけない」と自覚をのぞかせる戸郷はどこまで進化を遂げるのか。