いざ、逆襲へ。屈辱の4位からの巻き返しを期す巨人は3年ぶりのリーグ優勝が至上命令となる。さらに11年ぶりの日本一を目指す上で、避けて通れないのがポストシーズン突破だ。最後に頂点に立った2012年以降は短期決戦で8度敗退と分が悪い。原辰徳監督(64)の手腕はもちろんだが、選手たちはどう臨むべきなのか。ソフトバンクで黄金期を支えた松田宣浩内野手(39)が明かした〝常勝の心得〟とは――。

 熱男の第2章がいよいよ幕を開ける。昨季まで在籍したソフトバンクでは主力として17年から4年連続日本一に貢献するなど常勝軍団を支えた。クライマックスシリーズ(CS)や日本シリーズが〝鬼門〟と化している巨人にとって、松田の経験はかけがえのない財産となる。

「シーズンは個人の成績があるけど、CSとか日本シリーズで10打数10安打しても、チームが負けたらおしまい。個人の記録よりも、チームが勝つことを一番上に持ってくる。そういう軍団になることが一番大事だと思うんです。9人の中の誰が打ったとか関係ないんですよ。誰がヒーローでもいい。チームが勝つか勝たないかだけです」

 長丁場のペナントレースと短期決戦では戦い方も異なってくる。それだけに、選手側もギアを完全に入れ替える必要がある。束になってかかる上で何が必要になるのか。

「いかに野球本来のスポーツをするかということ。野球は点を取るスポーツ。僕も(ソフトバンクの)みんなも、点取りゲームという本来の趣旨をめちゃめちゃ意識していました。10対11でも11点取ったほうが勝ち。1位からでも3位からの下克上でも、その日に(相手よりも)点を取れなかったら負け。点を取れないなら守る。そういう感じでした」

 そうした思考の転換などチームに多大な影響をもたらしたのが、10年オフに横浜から加入した内川の存在だったという。

「2010年よりも前は少し〝CSの呪縛〟であったり、みんながシーズン通りの野球をしていた。それをシーズン終了と同時にバサッと切った。僕も苦しかったんですけど、内川さんがそういうことを示してくれた。それで11年以降はCSや日本シリーズで負けることもなくなった。主力が全員無安打でも、誰かがカバーしてチームが勝てばいい。そういうことを気づかせてくれました」

 もちろん、すべてが思い通りにはいかない。劣勢に立たされることもあれば、活躍できずに悔しさを味わうこともある。

「シーズン中だったら『負けても明日があるわ』とか『負けても、次の日から2日勝てばカード勝ち越し』という考え方になる。でも短期決戦は負けたら『はいっ、次!』ですよ。反省していたら終わっちゃいますから。(全部が)終わってから反省。1試合目に負けたら2試合目、3試合目に勝てばいいとポンポンポンと切り替えて。僕らはそういうことを先輩から教えていただきました」

 巨人は19年と20年の日本シリーズでソフトバンクに2年連続で初戦から4連敗を喫した。当時、敵として対峙した松田はどんな心境だったのか。

「たまたまホークスが4連勝、4連勝で(巨人が)8連敗みたいになっていますけど…。でも、短期決戦は負けたら絶対的に不利になる。『2点取られたら3点取るぞ!』と。ゲームセットになるまで、そういう気持ちでいたから力が出たかもしれない」

 ソフトバンクで培った経験が今度は巨人に還元されていく。「試合に出る、出ないに関係なく、勝つために呼ばれて、このユニホームを着ていると思っている」と力を込めた熱男。まずはV奪回、そして日本の頂点へと導く。