無傷の7連勝で頂点まで駆け上がった侍ジャパン。とはいえ、順風満帆というわけではなかった。舞台裏では即席チームならではの〝サイン問題〟もあったという。

「実は2月の強化試合で打者に送られるサインが、試合を見ていた一部のコーチ経験者にあっさりと見破られてしまったんです。例えば『〇〇は左手首を1回触る、△△なら2回触る』とか…。対戦相手にバレてしまったら、こういう結果にはなっていなかったかもしれない」(球界関係者)

 侍ジャパンの強みの一つは、盗塁や送りバントなどの〝小技〟もできる緻密な野球だ。しかし、ベンチの栗山監督から三塁コーチの白井ヘッドを通じて打者へ送られるサインが、見る人が見れば判別可能なものだったという。ちなみに「2月の強化試合」とは、宮崎合宿中に行われたソフトバンク戦の2試合を指す。

 たった2試合で見抜かれてしまうほどサインが簡略化されていたのには、国際試合ならではの事情がある。別のスタッフは「普段から一緒のチームでやっていればサインも複雑にできるけど、WBCのような国際大会は言ってみれば即席のチーム。できる限り分かりやすくするほうが無難。しかも、大谷やメジャー組の野手は3月上旬から合流した。そのたびにサインを変えていたらチーム全体が混乱するので、そう簡単には変えられない」。それでもコーチ経験者の助言を受けて、すぐさま対応したことで、情報漏洩を未然に防ぎ、結果的に事なきを得ることができた。

 そうした細部に気づける人材がチーム内外にいることも、緻密な野球を徹底できる日本の強みだ。