第5回WBC1次ラウンドB組の日本代表・侍ジャパンは9日の中国戦(東京ドーム)に8―1と快勝。二刀流として「3番・投手兼DH」で先発登板した大谷翔平投手(28=エンゼルス)が4回無失点、2安打2打点の活躍で白星発進に導いた。次戦はオーストラリアにまさかの黒星を喫し、追い詰められた〝窮虎〟韓国。大会前には大谷への「故意死球」発言で物議をかもすなど、何やらヤバそうな空気も漂ってきたが…。
日の丸を背負い、躍動した。最速160キロの真っすぐと、相手が腰を引くほどのスライダーを軸に4回5三振を奪って1安打無失点。打っては序盤だけで10残塁を記録した打線の重苦しさを吹き飛ばした。1―0の4回一死一、三塁から左中間フェンス直撃の貴重な2点適時二塁打。8回は先頭で大量得点の口火を切る右前打を放った。
2四球を選んで4出塁と、投打ですごみを感じさせる獅子奮迅の活躍。試合後のヒーローインタビューでは、10日の韓国戦に向け「今日の勢いをつなげたい。打者で援護できるように頑張りたい」と言葉に力を込めた。
その存在は脅威的だ。大会前、韓国代表の守護神・高祐錫(コ・ウソク)投手は母国メディアに「投げる場所がなければ痛くないようにぶつけようかな。一塁に送り出して次の打者と勝負します」と故意死球をにおわす発言をして「スポーツマンシップを欠いている」などとファンの批判を浴びた。不用意な発言であったことは間違いないが、大谷を前に苦しい投手心理をにじませるものでもあった。
韓国は9日のオーストラリア戦に敗れ、後がなくなった。その試合でも相手の4番打者への2死球を含め、3死球を与えている。なりふり構わず日本戦にぶつかってくるとみられるが、果たして大谷は大丈夫なのか。
そんな心配を吹き飛ばしてくれそうなのが、第1回WBCで日本を世界一に導いたソフトバンク・王貞治会長の言葉だ。
大谷について、王会長はメジャーでの歴史的な活躍をたたえながら、こう語ったことがある。
「日本からやってきた選手ということで(評価や立場を確立する上で)大変なこともあったと思う。ファンや選手、なにより全米が彼を認めてくれた。そのことが一番大きい」
その言葉の意味をソフトバンクの球団関係者はこう説く。
「能力で他の選手に認められ、真剣勝負を求められる存在。人としての振る舞いや態度がしっかりしているからこそ、敵味方関係なく、足を引っ張る人間が少ない。無用なトラブルやケガを引き起こさず、ファンの心もつかむ。打席に立てば投手は真っ向勝負を挑みたくなるし、ファンもそれを望んでいるからビーンボールなんてありえない。そういう魔力のようなものが大谷にはある。それが王会長の言う『全米が大谷を認めた』という言葉の真意だと思います」
審判とのコミュニケーションも良好。イニング間や出塁時に笑顔で言葉をかわしたり、ボディータッチをする様子がその人間性を物語っている。勝負を避けられる、ケガを負わされるといった不幸もなく、実力にふさわしい成績がついてくるのも、王会長が評すように多方面に認められてこそだ。
今回「世界の大谷」と対戦できるチャンスは最初で最後かもしれない。その幸運を世界各国の野球人たちが心待ちにしている。











