ロッテとヤクルトの練習試合(15日=沖縄・糸満)を現地で観戦した野球評論家の柏原純一氏が〝村神様〟ことヤクルト・村上宗隆内野手(23)に「我慢」の重要性を訴えた。

【柏原純一「烈眼」】2年連続の3冠王も夢ではない。ロッテ・佐々木朗希投手(21)との直接対決では、160キロの前にバットは空を切ったが、WBCへ向け、調整自体は順調そのもの。4回一死二塁の第2打席では二木のフォークを右前に運ぶ適時打で貫禄を見せつけた。

 試合前のフリー打撃では19スイングでゴロは2本。それもライナー性の捉えた打球だった。残りは全て中堅から逆方向を意識した下半身主導で長打をイメージできる当たり。直前のティー打撃でも軽くバットを合わせただけだが、打球は全て自分の目線よりも上だった。球を上げるためのバット軌道が体に染みついているといった印象だ。

 2年連続3冠王となれば、セ・リーグでは1986年のバース(阪神)以来の快挙だが、可能性は大いにある。同年はチームメートとして間近で見ていたが、鍵を握るのは四球の数だろう。

 相手は昨年以上の徹底マークで勝負を避ける場面が増えることが予想される。86年のバースも前年から四球は15個増え、敬遠も13個増えた。大事なのは、この四球攻めを嫌がらないことだ。当時のバースは、喜んで一塁へと歩いていた。「打ちたい」という思いをこらえ、どれだけ我慢できるか。86年のバースは176安打で、前年の174安打とほぼ横ばいだったものの、四球増で出塁率は5分3厘も上がり、同年の打率3割8分9厘は今なおNPB記録だ。村上クラスの超一流の打者なら「打ちたい」欲求もあるだろうが、それを抑える〝内なる戦い〟を制した先に2年連続の偉業が見えてくるはずだ。

 打点と本塁打に関しては〝環境〟も味方すると見る。86年の阪神打線はバースの前後に掛布、岡田、佐野と強打者が並んでいた。ヤクルトも村上の前後には山田、サンタナ、オスナがおり、相手球団が警戒すべき対象は「村上だけ」ではない。チームとして強力打線を維持できれば村上も勝負してもらえる場面は増えるだろう。

 減ることのない打点や本塁打と違って打率は凡退すれば下がる。昨年、日本選手のシーズン最多本塁打記録更新がかかってから60打席ノーアーチと苦しんだ。今年もシーズン終盤に個人記録として「振っていく」必要がある時期が来るかもしれない。そういった意味でも打率は前半のうちの稼げるだけ稼ぐに越したことはない。いずれにしても偉業達成には「我慢」がキーワードとなる。

(野球評論家)