いろいろな意味で視界は良好のようだ。巨人の春季キャンプが1日から宮崎でスタート。3年ぶりのV奪回が至上命令の原辰徳監督(64)は初日から精力的に動き回った。そんな中でも異彩を放ったのが、恒例となりつつある宮崎県産「ハーブ鰻(うなぎ)」のつかみ取りだ。ただ、今回はそれ以上に巨人が苦手とされる初物の〝難敵〟も登場。そこで披露した熟練指揮官の対応とは――。

 Bクラスからの覇権奪回へ、2023年が幕開けした。原監督はブルペンで立ち位置を変えながらWBCに選出された戸郷や大勢らの投球練習をチェック。野手の打撃練習中には、ケージ裏から新加入したオコエに助言を送るなど熱がこもった。

 さらに、一軍の全体練習を見届けると二軍の球場に移動。ドラフト1位・浅野翔吾外野手(18=高松商)の打撃練習も初めて自分の目で確認した。指揮官が初日から二軍を視察するのは異例で、黄金ルーキーへの期待と強固なチームづくりへの本気度がうかがえる行動だった。

 原監督は「私自身も非常に高揚して初日を迎えることができたし、選手たちもそれに匹敵するぐらい。それぞれがいいスタートを切ってくれた」と話し、浅野についても「いろいろなものを越えなきゃいけないなと思いながらも非常に安心しました」と満足げだった。

 上々の滑り出しとなったが、宮崎キャンプ初日には切っても切り離せない行事がある。それは伊勢えびなどに代表される特産品の贈呈式。今年も昨春に続いて「ハーブ鰻(うなぎ)」が登場し「今年は元気良さそうだね」と2年連続でつかみ取りに挑戦だ。「ほっ…、ほっ」と声を上げながらつかんではポトリと落とすこと3度。昨年の2度での成功を上回ることはできなかったものの、かえって長尺で宮崎のPRに貢献し、スタンドのファンからも拍手が起こった。

 このパフォーマンスだけでも球団スタッフを「原監督だと当たり前のように思われがちだけど、本当にさすが。これだけでもメディアを通じた地域貢献」とうならせたが、今年は続編があった。その後には〝サプライズ〟として宮崎で養殖されたキャビアを初めて進呈された。指揮官は昨秋のキャンプで伊勢えびを使った衝撃の〝えびダンス〟を披露したとはいえ、粒が小さいキャビアを全身で表現することは極めて難しい。むちゃぶりに近い状況で、宮崎サイドでは原監督のアドリブに注目されていたのだが…。

 当の指揮官は「ご相伴に、預からせていただきます」と自らカメラマンの前へ一歩出て、スプーンにてんこ盛りのキャビアをすくい上げてパクリ。口の中でプチプチとはじける食感と美味を味わいながら数秒間目を閉じ、言葉はいらないとばかりに右手でサムアップポーズを決めてみせたのだ。

 これには宮崎の関係者からも「原監督、ありがとうございます!」と文字通りの最敬礼。巨人が苦手とされる初物にも打ち勝った指揮官のアドリブ力は磨きがかかる一方で、チームともども上々のスタートを切ったようだ。