昨季まで阪神の監督を務めた矢野燿大氏が、同球団OBの川藤幸三氏のYouTubeチャンネル「川藤部屋」に出演。4年間の監督生活を赤裸々に振り返った。

 監督として「うれしかったことと、悔しかったことは何か」と川藤氏から問われた矢野前監督はまずうれしかったこととして「選手個々の成長」を挙げ、以下のように続けた。

「走れるやつも増えましたよね。島田(海吏)も20(盗塁)行きましたから。二軍の時は大変でしたよ。超無難(な選手)なんで。去年の巨人戦(9月2日、甲子園)でバントに失敗して一塁に残って、すぐ初球に盗塁したんですよ。めっちゃうれしくて。前の島田やったらバントに失敗した後、よう動かないんですよ。『うわ、失敗した。ヤバい…』みたいな。でもあの初球で走れたというのは、バントに失敗したことから切り替えながら、次にチャレンジできるところまで成長したんやなと。すごくうれしかったです」

 監督としての日々は「めちゃくちゃ苦しくて、大変だった」そうだが、教え子たちの成長からは「たくさんの感動をもらった」と振り返った。

 その一方で「悔しかった出来事」として矢野前監督が挙げたのは「サイン盗み」の疑いをかけられた2021年7月6日のヤクルト戦(神宮)。

「あれが一番悔しかったですね。ヤクルトさんに何も悪気はないし、逆の立場でそういう風に思われる動きがあったっていうのも、ゼロではないと思ってます。次の日に(ヤクルトの)高津監督とも話をして。『何かあったら俺らで話をして、解決できることはしようやって。ウチは絶対やれへん。絶対やってない。もし俺がやってたら永久追放でもなんでもしてくれていい』と」

 当該の試合で〝伝達行為〟を疑われた二塁走者は近本。「近本ってそういう選手ではない。どっちかっていうとマイペースというか。次に言われたのが(打席にいた)佐藤輝でしょ。できるわけがない(笑い)。『子供たちの見本になろう』と言ってきた僕らが、そういうことをするわけがない。ヤクルトには変な感情は全くないんですけど、僕ら側からすると絶対にやってないので、あれはちょっと悔しかったですね」。

 ホスト役の川藤氏も「昔から球界内で『どこどこの誰々が(サイン盗みを)やっている』といった話は、ずっと言われ続けてきた。膨れ上がった疑心暗鬼が現実になって出てきてしまったんやろな」と同調していた。