選ばれるべくして新天地へ向かう――。ソフトバンクにFA加入した近藤健介外野手(29)の人的補償で日本ハムへ移籍した田中正義投手(28)が18日、ペイペイドームを訪問。相次ぐ故障もあり、在籍6年で未勝利に終わったかつての本拠地を背に「悔しいですし、申し訳ない気持ちが強いですが、ファイターズでしっかり活躍することがホークスファンへの恩返しになると思っているので、大暴れできるように頑張ります」と言葉に力を込めた。
「選んでもらって光栄です」。偽りのない本音だった。「ホークスに在籍している選手の力を知っているからこそ、そう思えるんだと思います」。人的補償――。世間のイメージはおおむねネガティブかもしれない。だが、田中正の受け止めこそが自然そのものだ。12球団随一の戦力を誇り、若手有望株も多いソフトバンク。プロテクト28人を選定する作業は至難だったはずだ。実績ある選手すべてを守り抜くことは不可避で、目移りするような選手がプロテクトから漏れていたことは容易に想像がつく。事実、新庄監督は田中正を含めて少なくとも4選手を最終候補にリストアップしていた。
最速156キロ右腕は、かねて人気銘柄だった。2016年ドラフトの超目玉で、日本ハムを含む5球団が1位指名で競合。ソフトバンク入団後は度重なるケガで才能を開花させらず、6年間で34試合の登板にとどまったが、他球団は「一流の資質」を一貫して評価し続けてきた。これまでソフトバンクに対して、複数球団からトレードの打診がたびたびあったことは紛れもない事実。今回の人的補償では、いの一番に名前を呼ばれた。仮に、当該球団が日本ハムでなくとも「田中正義」だった可能性は高かったのかもしれない。
自主トレ先の東京から約1か月ぶりに帰福したこの日「やっぱり福岡の空気は合いますね」と笑った田中正。「ホークスは本当に入りたかった球団。やっぱり寂しいです。活躍している姿を見せることが恩返し。福岡でいい投球をしたいです」。紆余曲折の野球人生だが、今、その心はときめいている。












