【今村猛 鉄仮面の内側(17)】投球スタイルというものは現役生活を続けていくうちに少しずつ変わっていきます。もともと、チームとしては僕を先発として育てようという方針でした。なので、先発で登板するときには打者の目線を変える意味もあり、入団1年目2010年の秋から球種の一つとしてカーブを習得しました。
ところが役目がリリーフになったとき、そのカーブを投げられなくなったんです。変な言い方かもしれませんが小細工というか、技巧的な投球ができなくなったんです。
高校時代に150キロを超える直球を投げ注目してもらいました。ただ、もともとプロ入りしてからは直球の球速は140キロそこそこ。それがチームから中継ぎの役割を与えられ、シンプルに何も考えずに投げていたら、結果として140キロ台後半が一気にポンと出てしまったんです。
「よし、これだ」と思ってそのままのペースで投げていると今度はカーブを投げられなくなっていたんですね。投げ方忘れました。一気に。
いわゆる投球時に「抜く」という行為ができなくなったんです。投げる力を抜くというものではないんです。カーブの握りでボールを抜くという技術を失ってしまったんです。
リリーフ投手として力強いボールで勝負するという専門性を極めた結果、そうなったんだと思います。中継ぎでは走者を背負って登板する機会も多いですから、カーブを使うタイミングが難しかったというのもあったといえばありましたけどね。
2年目、11年の途中から僕は先発では登板していません。このころからリリーフ専門となって武器にしたのはシュートでした。自己最多の69試合に登板した12年もシュートを使っていましたね。
ちょっと独特な感じだったんです、僕のシュートは。ツーシームの握りで右打者の内角高めに投げれば上に吹く(吹き上がるように変化する)イメージ。右打者からすれば、詰まってしまうので嫌な球だったと思います。左打者の場合は外角高めに浮き上がるイメージの投球となるわけで、高確率でファウルを取れてカウントを稼ぐことができました。
同じ投げ方で右打者の内角低めに投げると今度はボールは沈んでくれます。このボールに手を出してくれると内野ゴロを打たせたい時に有効です。左打者に対してはアウトローに逃げながら沈むボールとなるので空振りを取りやすくなります。
高めに投げればホップするイメージ。低めに投げると沈んでくれる。僕はそういう変化をすると思って投げていました。その当時、どうも調子がちょっと良くて球速も直球と変わらないスピードで投げられていたんです。自分にとっては技術的にも簡単だったので本当によく投げていました。
基本的に変化量は操れなかったんですけどね。
ただ、このボールを僕は左打者にしか投げられなくなってしまいました。つまり右打者に対しては封印したことになります。11年の夏のことでした。今でもその場面はフラッシュバックして僕の頭から離れません。












