バットだけではない。日本人最多のシーズン56本塁打を放ち、史上最年少で3冠王に輝いたヤクルト・村上宗隆内野手(22)が、驚異的な体の柔らかさでも世界にインパクトを与えている。試合前や練習前のウオーミングアップで欠かさず行う〝村神様〟流の独自ストレッチだ。巨体にもかかわらず、変幻自在の可動域を誇る柔軟性には「まるで軟体動物だ」と驚嘆の声が上がっている。将来的な獲得に強い興味を示すMLBスカウトも、新旧大物日本人メジャーリーガーたちの姿をダブらせ、大きな評価ポイントとしている。

 これこそが〝村神様〟の打棒爆発を生み出す秘訣なのかもしれない。村上の驚異的な柔軟性は、今年11月上旬に日本代表メンバーとして参加した「侍ジャパンシリーズ2022」でも、関係者の間でひときわ大きな注目を集めていた。

 侍ジャパンのチーム練習前にグラウンド上でウオーミングアップの際、村上は20分から30分近くの時間を費やしながら、一人黙々と独自メニューのストレッチを敢行。ヤクルトでも欠かさずこなしているルーティンワークだが、久々に顔を合わせた侍ジャパンのメンバーやスタッフら関係者の目には、やはり新鮮に映ったようだ。180度開脚や胸がべったりと付くほどのまた割りには「すげぇ」「マジかよ」と方々から驚嘆の声が上がっていた。

 188センチ、97キロの巨体を誇りながら、抜群の体の柔らかさも兼ね備える。プロ入り当初こそ体は硬かったものの、入団1年目オフの自主トレで帯同した大先輩・青木からコンディション維持のために柔軟メニューの重要性を説かれ、ゴムチューブなども用いながら長い時間をかけた独自のストレッチを始めるようになった。この努力が実を結び、プロ4年目にして周囲から「軟体動物並み」と評されるほどの柔軟性を身につけた。

 侍ジャパン関係者によれば、村上本人もスタッフから「2022年シーズンはコンディション的に何か変わったところはあったのか」と問われ「(体の)バランスがよくなりました」と即答しているという。

「村上選手は東京五輪に参加した時も『随分と柔らかいな』と思いましたが、あれから1年と3か月ほどたって、あらためて見てみたら明らかに柔軟性が増していました。まるで体操選手やエアロビの選手ばりの柔らかさですよ。体全体の可動域が広がった分だけ、バッティングにも好影響を及ぼしているのは説明するまでもないと思います」と、前出の関係者もすっかり脱帽の様子だ。

 村上が将来的な挑戦願望を明言しているMLBからも、その類いまれな柔軟性には注目が集まっている。ア・リーグ球団スカウトは「村上選手があれだけの柔軟性を持っているところは最高点の『A+』評価に値します」と太鼓判を押し、こう続けている。

「ストレッチに非常に長い時間をかけ、重視している選手はMLBでも活躍した青木選手以外にも現役時代のイチローさん(現マリナーズ会長付特別補佐兼インストラクター)や、大谷翔平選手(エンゼルス)が思い起こされる。どうしても大型のパワーヒッターはコンディション面の不安と常に背中合わせにならなければならないところもあるが、村上選手の場合は抜群の柔軟性を持ち合わせていることで、非常にケガをしにくい体になっている。彼のようなタイプの選手はいい意味で珍しい。ますます魅力的なプレーヤーだ」

 2023年も村上が世界をますます席巻しそうだ。