2022年の日本マット界には新たな波が押し寄せた。11月20日に新日本プロレスとスターダムが両団体初の合同興行(有明アリーナ)を開催。メインを女子の試合(KAIRI対岩谷麻優)が務めたのだ。同大会のミックスドマッチでザック・セイバーJr.と組み、トム・ローラー&朱里と対戦したジュリアは、この流れをどう見ているのか――。

【ジュリア お騒がせ女の帰還2022(4)】

 ――日本マット界でも男女の〝垣根〟が取り払われ始めた

 ジュリア 女子プロレスって、なんかこう男子の下みたいな感じに見られてしまうじゃないですか。でも、今回の合同興行は結果的に成功で終わったって言えるのかな。始まる前はいろいろな声があったけど、実際にやってみて、お祭りみたいな感じでファンにも喜んでもらえたみたいだし。年に1回くらいは、こういうのがあってもいいのかなって思ったんだけど…。
 
 ――思ったけど
 
 ジュリア 手放しで喜んではいられないと思いました。見方によっては、スターダムの選手たちが、新日本の選手たちに「相手にしてもらってる」「付き合ってもらってる」ように見えたと思う。プロレスって面白くて、ただ動きがいいから、ただ強いからって、その人がすごい選手、いい選手ってわけではない。単純に強さもそうだけど、オーラでも勝負できる。体力的には全盛期を過ぎたレジェンドレスラーが、オーラで対戦相手を圧倒することだってあるじゃないですか。その点、まだまだ私たちには足りないものがあるんじゃないのかなって思ったね。

 ――ただ、ジュリア選手の入場は存在感があった

 ジュリア まあね。ジュリアは何をやってもかっこいいんで(笑い)。自分がザック選手と並んでどうだったか。それはお客さんがどう思ったかなって。喜んでくれている人もいたんでよかったですけど、なんかこう、ナメられちゃいけないと思うんですよ。男子の選手に。ただ、甘えた感じで接しているなら、あべみほさんやピーターさんでいいじゃんって。同じリングに立つ以上は、私たちは、ディーバじゃないんだからって思いました。スターダムの選手は「あの舞台に上がれて楽しかった」「お客さんいっぱいの会場で試合できてうれしかった」で終わっちゃいけないと思うね。

 ――ジュリア選手なりの警鐘だ

 ジュリア いいんですよ、新日本の選手がスターダムで提供試合してくれても。でも、それはないじゃないですか。

 ――つまり、まだ対等ではないと

 ジュリア うん。そこにどれだけの選手が気づけているのかなって思いますけどね。スターダムが「新日本の選手と仲よく絡めてうれしい!」なら、見てるファンはワクワクしませんよ。体力的にかなわなくても、一つでも上をいってやろうって気持ちが見えなかったら、本当に単なる顔見せ興行になってしまう。

 ――その「気持ち」が見えた試合はあったか

 ジュリア 棚橋(弘至)選手を投げることにこだわり抜いた舞華は、よく頑張ったと思いますよ。度肝を抜く何かを見せてやるって、気持ちが大切だから。よくやった!って思った。

 ――棚橋&林下詩美に後藤洋央紀、舞華組が対戦した試合だ。来年1・4東京ドームでも、KAIRIと中野たむのIWGP女子王座戦が行われる

 ジュリア とにかく、新日本との合同興行については、これからいろいろ考えなきゃいけないと思う。IWGP女子王座ができたこともあって、新日本とのつながりは強くなっていくだろうと思うし。スターダムのトップとして、そこに出るという意地を持っていてほしいです。もちろん、自分もまだまだ足りてないからね。偉そうなこと言ってますけど(笑い)。