【広瀬真徳 球界こぼれ話】日本国内がサッカーW杯で盛り上がる中、球界では各選手の契約更改が進んでいる。
今季の活躍を評価され球団との交渉後に満面の笑みを浮かべる選手がいれば、厳しい査定を提示され渋い顔で会見に臨む選手など。明暗が分かれる場面はいつ見ても興味深いのだが、昨年ごろからこうした光景が様変わりを見せている。これまで当たり前のように公表されてきた年俸額を選手側が非公開にする傾向にあるからだ。
今オフで言えば先月25日に契約更改した楽天・オコエ瑠偉(25)が自身の年俸を非公開にした。同様にロッテ・中村奨吾(30)も来季から4年契約を結んだことを明かした上で、年俸については選手会での議論があることを理由に公表を控えた。
こうした選手側の行動に一部ファンや報道陣から「プロ野球は夢のある職業。公表すべきでは」という声が上がっていたが、時代の流れを考慮すれば今後は非公開もやむなしではないか。
そもそもプロ野球選手は「個人事業主」。年俸を明かす義務はない。これまではファンの関心や報道陣の要望により公開が慣例化されてきたが、日本では高額納税者公示制度(いわゆる長者番付の公表)も2006年に廃止されている。個人情報に敏感な昨今の時代背景を考えても非公開は妥当だろう。
実はこの問題。オフに選手と会うと必ずと言っていいほど話題に上がる。選手の家族から不満が漏れることも珍しくなく、ある選手の夫人は以前「夫の年俸がオフに公表されるたびに憂鬱になる。大幅アップした際には知らない団体から突然寄付をお願いされることもありましたし、逆に(年俸が)下がれば周囲からの目がつらくて。子供たちの間でも主人の年俸が話題になることもある。この慣習、何とかならないでしょうか」と真顔で訴えていた。
年俸公表の際は「推定」の一言を添えるのが報道する側の通例だ。それでも概算とはいえ一家の収入額を毎年一般公開される選手、家族にしてみればたまったものではない。
もちろん、まれではあるが積極的に公表したい選手もいる。そういう選手は遠慮なく公表すればいい。そのうえで選手側には非公開の選択肢も不可欠だろう。
5日にも選手会側は年俸公開に関しての議論を行う予定だが、果たしてどのような結論に至るのか。プロ野球の風物詩もいつの間にか岐路を迎えている。












