これぞ原流〝令和式スパルタ指導〟か。巨人の原辰徳監督(64)が宮崎での秋季キャンプで、意外な形でのスパルタ指導を押し進めている。新任の大久保打撃チーフコーチの発案により、今キャンプでは早朝のアーリーワークと1日2000スイング、チーム打撃のノルマが課されるなど、一見すると前時代的な厳しい練習を行っているようにも見えるが…。それでも、随所に〝令和らしい〟遊び心が隠されていた。

 連日のハードワークにヤングGもヘロヘロだ。第2クール3日目となった9日も、午前6時半からのアーリーワークを例外なく実施。連日のスイングによりナインの手のひらには無数の血豆ができ、テーピングが幾重にも重ねられていた。

 そこから思い浮かぶのは、1979年秋に静岡県伊東市で行われた通称〝地獄の伊東キャンプ〟だ。チームがリーグ5位に沈んだこともあり、当時の長嶋茂雄監督(現・終身名誉監督)の意向で主力若手選手を集め、例にないハードな練習を課したことから伝説的なキャンプとして広く知られている。「雪辱に燃えるチームが秋にハードトレを行う」という共通点が、今キャンプから「昭和の香り」が漂っていると感じる理由の一つとも言える。

 そんな当時のキャンプとの決定的な違いは、厳しさの中にある「遊び心」にある。原監督はこの日のアーリーワーク中に、想像の斜め上を行く〝珍トレーニング〟を発案。2000スイングを行っていた秋広のもとに姿を現し、序盤こそ静かに見守っていたが、突如、近くにいた報道陣に「歌詞の出る動画はない?」と依頼。本紙記者が音楽アプリを起動したスマートフォンを手渡すと、原監督は秋広の傍らからサザンオールスターズの名曲「TSUNAMI」を流し始めると、「歌いながら打つんだ!」と、まさかの〝ミュージック連続ティー打撃〟を指示した。

 突拍子もない提案に当初は秋広も戸惑いを隠せなかったが、ついには「風に戸惑う~弱気な僕ぅ~」と伸びのある歌声を響かせながら速打ちを開始。予想以上の美声に原監督も「うまいねぇ~」と感嘆の声を漏らすと、大久保コーチも「音程も合ってる!」と大絶賛した。結局、秋広はそのままフルコーラス歌いきると、ケース2箱分を笑顔を浮かべながら打ち切った。

 原監督は「(1セットで)何百回もやるわけだから考えながらスイングしちゃダメ。神経を歌のほうに。(試合で)いざ勝負という時には意識の中での無意識でのバッティングだから」と練習の目的を説明すると、秋広自身も「歌に集中していた分キツさは半減した。リラックス効果はあったと思います」と意外な効果も告白。大久保コーチも「厳しい練習だけでは若い子はついてこれない。メリハリを生むためにも、ゲーム感覚のようなメニューも入れながら、練習中の雰囲気を暗くならないようにしたい」と話し、厳しさの中にユーモアも織り交ぜる〝令和流〟の練習がテーマであることを明かした。

 時代が変われば選手も替わり、そして練習も変わる――。V奪回に燃える新生・原巨人は、時代に即した練習改革も進めていた。