【取材の裏側 現場ノート】ここ最近、陸上の現場で女子長距離の不破聖衣来(拓大2年)の〝スゴさ〟を改めて実感する機会が増えてきた。
昨年の秋から不破を取材する私は、何度も異次元の走りを目撃してきた一方で、ある疑問が頭に浮かぶようになった。「不破選手の姿はいったい他の選手たちにどう映っているのだろうか――」。不破の走りに記者心がくすぐられ、自然と取材に力が入ったのは一度や二度ではない。日本学生対校選手権(9月、たけびしスタジアム京都)の1万メートルでも同様だった。
ケガの影響で7月の世界選手権(米・オレゴン州)の代表選考会を兼ねた1万メートル日本選手権(5月、国立競技場)を欠場した不破にとって、約5か月ぶりの復帰戦。まだ万全な状態でないことはわかっていたが、あっさり私の想像を超えてきた。
当大会は1キロ3分20~25秒のペースで走り切ることを1つのテーマに掲げていた。ところが、7200メートル付近でギアチェンジ。「出るプランはなかったけど、ここで勝負したいという思いがあったので、気後れせずに行ってみようと思った」と不破。1キロ3分10秒台のペースで後続を引き離し、32分55秒31で初優勝を果たした。
勝負どころを見極めた不破のロングスパートには、他の選手からも感嘆の声が上がっていた。2位に入った原田紗希(名城大1年)は「不破選手は自分でグングン行くところがすごい。1人でもどんどん行ってしまった。後ろから見ていてフォームがきれいだなって思った」と回想。未来の日本を背負うランナーの走りに脱帽しきりだった。
不破と原田の学年は1つしか変わらない。しかし、不破の存在はやはり特別なようで「テレビで中学校のときから見ていたが、一緒に会ったり走ったりしたのは今回が初めてで、どんな感じなのかなと思っていたけど、思ったよりテレビで見るよりも細くて、自分と似ているけど、似ている体形だけど、走りに力があったのがすごい」と目を細めたほどだ。
ちなみに不破が初の1万メートルで日本歴代3位(30分45秒21)のタイムをマークした関西実業団ディスタンストライアルin京都(昨年12月、たけびしスタジアム京都)時には、ある実業団ランナーがこんな言葉を残していた。
「まるで呼吸をしていないかのように楽に走っていたのが印象的だった」
数々の選手を驚かせてきた不破の次戦は、全日本大学女子駅伝(30日、弘進ゴムアスリートパーク仙台発~仙台市役所前着)になる見込み。果たしてどんな走りを披露してくれるのか。その行方を見守りたい。 (五輪担当・中西崇太)












