真の独り立ちが大砲を成長させたか。巨人が13日のヤクルト戦(神宮)に9―7で勝利し連勝を飾ると、3位・阪神とのゲーム差も1と再接近。4番・中田翔内野手(33)が2試合連発となる21号3ランを放ち、この日のV完全消滅を阻止した。直近5試合で3発とシーズン終盤に勢いを増す中田だが、その活躍の裏には「昨年の単身生活が好影響をもたらしたのでは…」との声も聞こえてきた。


〝令和のON砲〟がさく裂した。0―1で迎えた2回、岡本和が石川から26号同点ソロを放つと、4回にも2打席連発となる27号勝ち越しソロ。さらにウォーカーの23号ソロ、5回には丸の適時打が飛び出し、石川をマウンドから引きずり下ろした。

 勢いは止まらず、今度は中田が2番手・大西の代わりばなの初球スライダーを完ぺきに捉えて左翼スタンドへ。5点リードの9回には守護神・大勢が村上に55号3ランを浴びて僅差に詰め寄られただけに、主砲の一発は値千金のものとなった。

 中田は「チャンスだったので、初球から積極的にいこうと思っていました。いい追加点になって良かったです」。原監督も「神宮は結構(点の取り合いで)荒れるというかね。今日は内容はともかくとしても、勝てたというところが大きかったと思います」と称えた。

 これで今季の成績は21本塁打、61打点、打率2割8分5厘。シーズン序盤こそ不振に苦しんだものの、シーズン後半に入ってからは安定感を見せている。その活躍の裏には、昨季途中の電撃移籍後に起きた環境の変化が挙げられるという。

 中田を知る関係者は「昨年の夏に東京へと生活拠点を移してから、久しぶりの一人暮らしとなった。これまでなかなか1人になる時間がなかった中で、あの単身赴任期間は自分と向き合ういい時間になったのでは」と分析する。

 中田は昨年8月20日に日本ハムから巨人への移籍が突如発表されると、家族と暮らしていた札幌を離れて単身東京へ。移籍当初は「(移籍後から)僕自身がずっと1か月半くらいホテル住まいだったものですから。東京の方で手伝ってくれているので」と母の手も借りながらの東京生活のスタートとなったが、高校時代、プロ入り後と寮生活、プロ4年目オフの2012年には結婚して家庭を持ったこともあり、一人での生活は実質初めてとなった。

「家族を大事にする人だし、後輩をかわいがってごはんにも頻繁に連れて行ってあげていたタイプだから、完全に一人の時間というのは今までなかったのではないか。何事も一人でやらないといけない生活は彼の自立につながり、これまで以上に責任感も生まれたんだと思います」と前出関係者。

 くしくもこの日は、中田が「僕にとっては本当にずっと信頼している方」と話す古巣時代の恩師で、侍ジャパン・栗山監督が視察のため来場。師の前で「恩返し」の働きを見せた。チームの勝利のため、そして支えてくれた人たちへの恩返しのため…。独り立ちを果たした男が、今後もチームをけん引していく。