逆襲のカギは――。卓球女子の伊藤美誠(21=スターツ)が、国内ライバルに苦戦を続けている。2024年パリ五輪シングルス代表の選考ポイントが与えられる大会では2戦連続で準々決勝敗退。昨年の東京五輪で混合ダブルスの金を含む3つのメダルを獲得し、世界ランキング日本最上位の実力者に何が起きているのか。日本卓球協会の宮崎義仁専務理事に現状と打開策を聞いた。

 伊藤が〝国内の壁〟に阻まれている。パリ五輪代表を選出するために、協会が独自にポイントを設定した選考大会が今春からスタート。伊藤は選考対象ではない1月の全日本選手権シングルスで3年ぶりに優勝を果たしたが、ポイントが付与される3月の「ライオンカップ・トップ32」、今月のTリーグ個人戦「ノジマカップ」はいずれも8強で姿を消した。

 2大会を終えて獲得ポイントは早田ひな(日本生命)、木原美悠(エリートアカデミー)、長崎美柚(木下グループ)、佐藤瞳(ミキハウス)に続く5位タイ。東京五輪は全3種目でメダルを獲得し、世界ランキング5位(16日発表)と日本勢トップに君臨する21歳に試練が訪れている。

 そんな伊藤について、宮崎氏は「(不本意な結果に)歯がゆい思いをしていると思う。いずれの大会も決して勝てない相手ではなかったし、次こそ必ずという思いはあるだろう」と話す一方で、日本女子の全体的な傾向として「伊藤を目標にやっている選手も少なくないので、目標とされる伊藤にとってはつらい部分もあると思う」と分析する。

 各選手が「打倒伊藤」の意識で挑んでくる国内の試合は、国際大会とは別の難しさがあるようだ。では、これからの逆襲に欠かせないものは何なのか。宮崎氏は次のように指摘する。

「受け身にならないということ。まだ伊藤は慎重に勝とうとしているように見える。ただ、相手も国内トップ選手なので慎重にやって勝てるほど甘くない。一度調子を上げてくるとなかなか落ちないし、勝負の世界では序盤から圧倒するような姿勢が必要。最初からフルスロットルで? そういうこと。中国選手もそういう雰囲気で戦える選手がチャンピオンになっている」

 選考レースは今後、来月の「全農カップ・トップ32」(福岡)、11月の第3回選考会(千葉)、来年1月の全日本選手権(東京)と続く。宮崎氏は「やっぱり伊藤は実力者なので、平均すればトップのほうに上がってくると思う」。卓球王国・中国が警戒する〝大魔王〟は、国内の苦手意識を克服することができるか。

【パリ五輪出場資格の〝正式回答〟を要求】国際卓球連盟(ITTF)が発表した2024年パリ五輪出場資格を巡って、日本卓球協会がITTFに〝正式回答〟の要求を続けている。

 同協会は昨年9月の理事会で「パリ五輪代表選考基準の考え方」を承認し、国内大会やTリーグなどの成績でシングルス代表2人を選出すると発表。一方でITTFの「出場資格」は、団体の出場権を獲得した男女16チームはシングルス2枠が自動的に割り当てられ、24年6月18日発表の世界ランキング上位2人が資格を得るとしている。

 しかし、日本協会側は今年4月の時点でITTFから団体の出場権を得た場合、代表選手はNOC(各国・地域オリンピック委員会)が決められるとの説明を受けたとし、今回の発表も「シングルスは世界ランキング上位2人が望ましい」と解釈。出場資格に「代表はNOCが決定できる」と明記された正式な文書をITTF側に求めているが、現時点で回答はないという。

 協会関係者は「電話でOKをもらっているといっても納得しないのが日本という国。やはり正式文書でないと困るので、引き続き粘り強くお願いするしかない」と話している。