元号がまだ昭和のころ、ネス湖のネッシーが大きな話題になり、日本でも池田湖のイッシー、屈斜路湖のクッシーなど、巨大海竜的なUMAがブームになった。近年、ネス湖で環境DNA調査が行われ、ネッシーの存在がかなり否定的となったが、それでもネッシーファンは諦めておらず、捜索を続けている。一方、日本ではイッシー、クッシーを捜す人は、ほぼいなくなった。すっかりロマンがなくなった現代において、何と兵庫県で「ムッシー」なる巨大UMAが出現し、話題になっている。

 ある日の午後4時ごろ、撮影者が兵庫県加古川市の播磨灘と加古川の河口付近を、高砂市の向島(むこうじま)公園側から見たところ、奇妙な影があった。水面が波立ち、青黒く大きな生物らしきものを発見したため、スマホで動画撮影したという。それはヘビのように長い体をくねらせながら泳いでいるようだ。ネッシーの正体説の一つといわれている、プレシオサウルスのような古代の首長竜が水中に潜ろうとしているようにも見える。

 この正体はいったい何? 不審に思った撮影者は、ラジオ関西の番組「バズろぅ!」(水曜午後5時55分)のパーソナリティー・わきたかし氏に調査を依頼した。

 わき氏は現場に何度か足を運び、ラジオ関西トピックス「ラジトピ」というサイトに「兵庫・加古川に未確認生物!? 目撃者多数の通称『ムッシー』」との記事を書いた。大きさは推定6~10メートルほどだという。地元の生物や魚に詳しい東播磨漁業協同組合も「クジラやイルカとも違う」としている。

 わき氏は「流木説、岩説、スナメリ説などが出ましたが、正体はまだ分かりません。取りあえず、水面上に出る岩はそこにはないです。ここらあたりを毎朝、散歩している人は『しょっちゅう見てるよ』と言ってましたが、ボクが書いた記事がこうして話題になってみると、その人も『よく考えたら不思議だな』と言ってました。目撃者はたくさんいます。目撃地点(向島公園)から『ムッシー』と呼ばれています」と語る。

 ちなみに数年前、英ロンドンを流れるテムズ川で巨大な生物が泳いでいるような影が確認され、「テッシー」と命名された。このテムズ川のUMAの動画も、ムッシーの動きと似ている。また、ネッシーについては公式ファンクラブが存在し、常時、動画や画像を記録し、本物かニセモノかと判定している。今回の映像は、本物のネッシーと判定された動画のいくつかとそっくりの動きなのだ。

 こうしてムッシーは、イッシー、クッシー以来のワクワクする騒動となっている。

 今回の動画を確認したオカルト評論家の山口敏太郎氏はこう語る。

「久々の日本の未確認生物ですね。地元では前からうわさが立っていた生物らしいです。映像を見る限り、1匹のように見えますが、複数いる可能性もありますよ。汽水(淡水と海水が混じり合い塩分の少ない水)部分に出没していることから淡水にも適応が可能かもしれません。スナメリの可能性が指摘されていますが、大きさから判断すると、もっと違うものじゃないでしょうか。小型のクジラの可能性もありますが、クジラにしては長時間観察してる間に潮を吹いていません。まさに新しい加古川の名物であり、今後に期待したいですね」

 ムッシーの正体が明らかになる日は来るのだろうか?