兄、弟と同じステージへ――。北京五輪スキージャンプ男子個人ノーマルヒル(NH)金メダル&ラージヒル(LH)銀メダルの小林陵侑(25=土屋ホーム)は、圧巻のパフォーマンスとともに、きょうだい全員がジャンプ選手であることも話題になった。長男の潤志郎(31=雪印メグミルク)と次男の陵侑は日の丸を背負って五輪に出場。三男の龍尚(20=土屋ホーム)も兄たちの背中を追いかける中、長女の諭果(28=CHINTAI)がインタビューに応じ、大舞台への夢と家族の素顔を明かした。
北京五輪で2つのメダルを獲得した小林陵侑。特に日本勢金メダル1号となったNH決勝では、姉の諭果と弟の龍尚がテレビに出演したことも、ネットやSNS上で注目を集めた。
――小林諭果(以下、諭果) 応援に行きたい気持ちはあったけど、コロナで現地には行けない状況で。私は東京、龍尚は札幌にいてリモートで出演させてもらいました。(陵侑の活躍は)ただのファンになっていましたね。すごいなって。私もその場にいられたら一番良かったんですけど…。
その場にいられたら…。北京五輪出場は自身が思い描く最大の目標だった。昨年10月の全日本選手権はNH6位、LH3位。高梨沙羅(クラレ)ら“W杯常連組”も出場した大会で結果を残し、一定の手応えを感じていた。しかし、W杯遠征メンバーには選出されず、札幌と山形・蔵王で予定されていた国内4戦は新型コロナウイルス・オミクロン株の影響で中止となりアピールの場を失ってしまった。
――諭果 すごく自信がついた秋だったので、冬に向けて頑張るぞという気持ちだったんですけど、モチベーションをどこに置けばいいのか分からない状況でした。国内のW杯中止は、そこにかけていた選手の気持ちを考えるとやるせないというか、私も悔しさがありましたね。
岩手出身で幼少時代から雪が身近にある環境で育った。ただ、学校の授業でのアルペンスキーやクロスカントリースキーに比べて、ジャンプに触れる機会は多くない。きっかけは兄・潤志郎が競技を始めたことだった。
――諭果 私が始めたのはだいたい小学4年生のころ。当時のことはあまり覚えていなかったんですけど、実家で映像が出てきました。スタート台で泣いていて、みんなに「頑張れ、頑張れ」と応援されて。飛んでいるというか落ちている状態でした。
3男1女の4人きょうだい。潤志郎は大学進学を機に地元を離れ、自らも早大に入学するタイミングで関東に移った。それまで兄や弟と過ごしていた時期は、どのような関係だったのか。
――諭果 きょうだいはあまり怒ることがなくて。兄は基本寝てるなというイメージ。兄も陵侑も穏やかで、私が一方的に怒って「諭果がキレてるよ」という目で見られていたと思います。何に怒っていた? 多分、手伝いを頼まれて何で私ばっかりと感じていたんでしょうね。2人は何も言わずにちゃんとお手伝いして。兄と陵侑は5歳離れていますし、ケンカは見たことがないですね。龍尚は3人のいいところも悪いところも見て育ったので、楽しくやっているんじゃないかなと思います。
現在、所属先のCHINTAIでは情報審査室に配属され、賃貸物件情報の確認などを行っている。平日午前9時半から午後3時まで業務に携わり、その後はトレーニング。早大OBでトリノ五輪代表の一戸剛氏から指導を受け、一戸氏の娘・くる実(N高)と汗を流すなど強化を続けている。
――諭果 10歳下の選手と練習しているので体力面で追いつけないこともあります。でも、まだまだおばさんも負けないぞという気持ち(笑い)。まずは来年の世界選手権を目指して、まだまだ応援していただけるなら4年後(ミラノ・コルティナダンペッツォ五輪)を見据えて続けていきたいです。
昨季限りで引退した同所属の茂野美咲さんは35歳までジャンプと向き合った。ベテランの域に入っても気力と体力に限界を感じるまでは、競技生活に区切りをつけるつもりはない。一方で「茂野選手は結婚されて競技を続けていたので結婚はしたいですけどね」と“別の宿題”も明かした。同じ大舞台に立つ夢の実現へ向けて、きょうだいの挑戦は続く。
【小林諭果の素顔】
競技から離れるとインドア派の一面を持っている。自宅では人気アニメ「名探偵コナン」を“一気見”するほどで「(アマゾン)プライムビデオのユーザーなのでいろんな作品を見るんですけど、コナンを流しながら作業していたり、調理していたら最新話まで追いついてしまいました」。さらに、最近はゴルフがマイブームになりつつあるという。また、ファッションへの思い入れも強く、ついつい洋服を“大人買い”してしまうこともあるとか。「それこそ昔はジャージーで過ごしていた記憶しかないんですけど(笑い)。好きな服を着れるのは楽しいですね」。過去の“反動”によるものと自己分析した。
☆こばやし・ゆか 1994年5月16日生まれ。岩手・八幡平市(旧松尾村)出身。4人きょうだいの長女。小学4年でスキージャンプと出合い、盛岡中央高2年の2012年3月にW杯初出場。早大進学後、15年冬季ユニバーシアード混合団体で兄・潤志郎とともに金メダルを獲得。17年大会は女子団体で金メダルを獲得した。好きなアーティストは7人組ボーイズグループ「BE:FIRST」。169センチ。












