今夏はコロナ禍もあり、例年以上に夏バテは避けたいところ。そこで夏バテ対処法を伝えるシリーズ第3弾の今回は、効果的な冷房の使用法についてです。特に今年は梅雨が長引いたこともあり、体が猛暑に慣れるまで時間もかかります。適切な冷房の使用によって体への負担を減らすように心がけてください。

 まず、激しい気温や気圧の変化によって不調になるのには、自律神経が関係しています。冷房がガンガンに効いた室内では体温を保つために交感神経が働き血管を収縮させていますが、逆に暑い室外に出たときには副交感神経が働き、血管をゆるめます。さらに再び冷房の効いた室内に入ると、血管が収縮。温度差の激しい屋外と室内を行き来するたびに、血管が収縮し、同時に心拍数、血圧が上昇…と体にとって負担が大きい状態が長く続くために、夏バテになるというワケです。

 もともと私たち人間の体は気温や気圧の変化にも耐えうるように作られていました。本来は暑くなれば汗を出して気化熱で体の温度を下げる、寒くなれば血流をコントロールして生命維持に必要な内臓を守ったりできていたのです。しかし近年は空調が整い、快適な環境が実現したことで皮肉にも「汗をかきにくい体」「気温差を感じにくい体」が生まれてしまいました。体本来が持つ自律神経のコントロールが利かなくなっているのです。

 では、どうすればいいか。一つには、極端な温度差が体に負担をかけることが分かっているのですから、冷房の温度設定は冷えすぎない25~26度ぐらいに。ポイントはリビングと寝室も同じ温度に設定しておくこと。居間と寝る部屋で温度差があるとこれまた体に負担がかかるため、同じ温度にしておきましょう。

「エアコンつけっぱなし問題」について体に悪いという声もありますが、これについて私はつけっぱなしを推奨しています。というのも、夏場の睡眠は深部体温と呼ばれる体の内側の温度をしっかり下げることが鍵を握ります。しかし、エアコンをつけたり消したりすると深部体温も上がってしまい、結局は睡眠の妨げに。対策としては冷房をしっかり効かせた上で、タオルケットをかけ、パジャマをはじめとした着衣はしっかり身につけることで快眠につながります。

 これはオフィス環境も同様です。「会社は冷えすぎ」という声もよく聞きますが、対処法としては、はおりものを持っていく。また、今年はコロナ対策も兼ねて室内でも1時間に1回は換気をしましょう。こうすると外の空気と混じって、冷えすぎも防げます。冷房は現代社会には欠かせないもの。賢く使って健康をキープしてください。

☆工藤孝文(くどう・たかふみ)福岡大学医学部卒業後、糖尿病などの生活習慣病、甲状腺疾患などホルモンの疾患を専門に勉強。現在は福岡県みやま市の工藤内科で減量外来を含めた地域医療に取り組んでいる。「あさイチ」「ホンマでっか!?TV」などメディア出演も多数、「心と体のもやもやがスーッと消える食事術」(文藝春秋社)、「ざんねんな人体のしくみ」(青春出版社)など体のメカニズムに関する著作も多い。