【楊枝秀基のワッショイ!スポーツ見聞録】この時期だからこそ語ることができる。阪神・宜野座キャンプを訪れると、昨年までとは明らかに打撃フォームの違う選手がいた。プロ8年目、ずっと大器と期待されてきた江越大賀外野手(28)だ。

 ティー打撃から、ボールをのぞき込むような独特のスタイルでアプローチ。まるでゴルフスイングを連想させるような、縦軌道を強くイメージしたスイングから打球を繰り出していた。

 初日のフリー打撃では79スイングで柵越え12本を放った。しかも、そのうち8本が中堅から右方向。球足の長いフライボールだ。昨季までは見たことのない現象だった。

 新打法はオリックス・杉本裕太郎外野手(30)を通じて習得に着手したものだ。6年目にして自己最高の打率3割、30本塁打と覚醒し、リーグVの使者となったラオウに自ら連絡を取った。

 そして、そのラオウに技術を伝授したのが、かつて米大リーグのエクスポズ傘下3Aオタワなどでプレーした根鈴雄次氏(48=野球塾・アラボーイベースボール代表)。咋季終盤、江越は根鈴氏の紹介を取り付けた。

 オフには約4時間の直接レッスンも受けた。短い時間だと思われるかもしれないが、江越は同氏の著書「MLBでホームラン王になるための打撃論」を繰り返し熟読しており、習熟度は既に高かった。根鈴氏は「既にラオウさんからも聞いていたでしょうし、自分でもかなり繰り返してやってきていたのが分かりました。最初から理解度が高かった」と振り返る。さらに江越はラオウとの合同自主トレに参加。継続的に新打法をトライしてキャンプに臨んだ。

 打撃映像を確認した根鈴氏は「ちゃんとできています。続けて真剣に取り組んでくれたのでしょう。話したときも相当な覚悟を感じましたしね。あの打ち方なら変化球に泳いでしまうようなこともないでしょうね」と進化を感じ取っていた。

 今後は藤井一、二軍巡回打撃コーチや北川打撃コーチの技術指導、サポートを受けながら江越自身が新打法をどう完成させていくか。結果を求められる立場であることは変わらない。実戦での江越の打撃を見るのが待ち遠しい。

☆ようじ・ひでき 1973年生まれ。神戸市出身。関西学院大卒。98年から「デイリースポーツ」で巨人、ヤクルト、西武、近鉄、阪神、オリックスと番記者を歴任。2013年からフリー。著書は「阪神タイガースのすべらない話」(フォレスト出版)。21年4月にユーチューブ「楊枝秀基のYO―チャンネル!」を開設。