【天龍源一郎vsレジェンド対談「龍魂激論」(10=後編)】ミスター・プロレスこと天龍源一郎(71)がホスト役を務める連載「龍魂激論」。“ミスター女子プロレス”こと神取忍(57=LLPW―X)との「ミスター対談」後編では、9月21日に亡くなった初代LLPW社長・故風間ルミさん(享年55=本名斉藤ルミエ)の思い出を語りつつ、深く哀悼の意を表した。神取は、故人をしのぶ一大イベント「風間祭」(来年3月、東京・後楽園ホール)の開催を明言した。 

 ――風間さんが亡くなられて約3か月

 天龍 早いねえ…。

 神取 あの時は家族葬の前に天龍さんが一番先に駆けつけてくださって。本当にありがとうございました。

 天龍「本当かよ?」という気持ちだった。マンションで独りで亡くなったというのもショックだった。病気だったの?

 神取 死因はまだ解明中ですが、子宮内膜症を患っていたんです。でも病院と注射が大嫌い。ぬいぐるみを渡して、子供をあやすようにしないと注射は絶対受けつけなかった。二回りぐらいやせちゃって、最後まで面倒見ていた人間が救急車を呼んでも、絶対に乗らなかった。私がその場にいれば力ずくで“監禁拉致”しても乗せたのに、という後悔はあります…。

 ――LLPWとWARは旗揚げ当時から交流が深く、シリーズにも参戦

 天龍 LLPWが旗揚げした後に知人と飲んでいて「風間ってのは、いい選手だよ」と言われて見に行ったんだ。WARを旗揚げした後に、米国修行時によく見た、男子の中に女子が入る大会を思い出してね。これは面白いと風間社長に参戦をお願いしたら、あっさり快諾してくれたよ。荒ぶれた野郎どものWARに和みを与えてくれたのがLLPWだった。

 神取 ありがとうございます。

 天龍 当時は「何やってんだよ」という世間のムードがあったけど、当時の俺は何でもやってやると開き直っていたから。今なら当たり前だけど、男子の巡業バスに風間社長が、(タッグ戦を行う)たった4人でむさ苦しいバスの中で小さくなっているんだ。何か申し訳なくてね。若い子たちの防波堤になっていた。

 神取 全日本女子プロレスが王道なら、自分らは道がなければ強引に作っちゃえ、っていうポリシーでしたから。男子の巡業に参加することに抵抗はなかったですよね。しかも彼女は日本プロレス界で初めての女社長。道場も事務所もリングもお金もない。最初の道場は「ゴールド」というディスコでしたから。本当にゼロから始めたんだから度胸が据わっていた。

 ――1998年9月には男女タッグトーナメントで天龍、風間組が実現。風間さんの引退後も、2006年の「WARファイナル」でタッグを組んだ

 天龍 俺は風間社長しか女子選手は知らなかったので、何かあると頭を下げて頼みに行ったけど、いつも「分かりました」と快諾してくれた。WARにとって戦場に付き添う従軍看護師というかナイチンゲールのような存在だった。

 神取 そのわりには泣き虫でした。当時は給料が手渡しで、渡す際は必ず選手に手紙を書いて。一度も遅配がなかったから偉かった。選手から手紙の返事が来ると、また泣いて(笑い)。

 天龍 一度も? それは経営者としてはすごいね。三沢(光晴さん=故人)なんかと一緒に飲みに行っても、ガンガン飲んでカラオケ歌いまくって座を和ませてくれた。場を盛り上げようする姿勢はある意味プロだった。

 ――お別れ会は

 神取 3月に後楽園ホールで開催します。試合も組んで旗揚げメンバーや、ゆかりのあるOGを呼んで大会を開こうと。「風間祭」みたいな形式にして、派手なお別れ会にしたい。

 天龍 体が痛いのに我慢して独りで耐えていたという事実はつらいけど、最後まで強い人だったね。

 神取 最後まで死ぬことは考えてなかったんですよ。自分は治ると信じていた。レスラーとして体力に自信があったんですかね。ある意味、女子プロレスの歴史を変えましたし。160センチが標準だった時代に153センチで跳んだり蹴ったりで常識を変えてしまった。

 天龍 何たって神取忍の手綱を取ったっていうのはすごいよ。議員の時も秘書を務めたでしょ。

 神取 改めて戦友であり、信頼できるソウルメイトでした。

 天龍 言葉は悪いけど、衝撃的な亡くなり方だったから、みんな一生忘れないんじゃないか。「私はプロレスと結婚した」と言ってたけど、いつまでも白装束のままリングの中央に立っているような気がするね。改めてご冥福をお祈りします。

 ☆かんどり・しのぶ 1964年10月30日、神奈川県横浜市出身。町道場で15歳から柔道を始め、84年世界女子柔道選手権銅メダル。86年ジャパン女子プロレスに入門。団体崩壊後、92年8月に故風間ルミさんらとLLPWを旗揚げ。93年には北斗晶と2度の死闘を展開。ミスター女子プロレスの異名を取る。2004年7月の参院選で落選したが、06年9月に繰り上げ当選を果たした。11年11月にLLPW―Xに社名を変更して社長に就任。170センチ、75キロ。得意技・神取スペシャル。