すでに絶滅してしまったとされる生物が実は生きていた…そんなケースも未確認生物のカテゴリーに入る。

 我が国では絶滅した生物として有名なニホンオオカミだが、いまだに生存説は根強い。そこには我が国固有の生物としてロマンがあるが、実際にいまでも目撃証言があり、存在そのものがミステリーとなっている。

 他にもオーストラリアのタスマニアタイガー(フクロオオカミ)もいまだにオーストラリア大陸各地や、なぜか海を越えて米国での目撃証言も存在しており、実在の可能性が高いとみる研究者もいる。

 今回はそんな実在がささやかれているオオカミの中でも、南米に生息していたとされる「アンデスオオカミ」を取り上げてみたい。

 南米大陸にはタテガミオオカミが生息しているが、アンデス山脈という高地に適応した別種のオオカミも生息しているのではないかとする説が昔から存在していた。実際に高地に出向いたインディオの中からも目撃証言が何例かあったそうだ。

 そして1926年、ドイツの動物商人であるローレンツ・ハーゲンベック氏がアルゼンチン・ブエノスアイレスで奇妙な生物の毛皮を入手した。それは首の部分にタテガミのような長い毛が生えている、推定2メートルほどの大型のオオカミの毛皮だった。

 続いて1937年には、ドイツの動物学者インゴ・クルムビーゲル博士が南米の動物標本群の中に奇妙な肉食獣の頭蓋骨を発見する。ラベルに「アンデス産」と記されたその頭蓋骨は、歯の弱々しいイヌに似た生物のものであった。

 クルムビーゲル博士は1941年にハーゲンベック氏の毛皮と照らし合わせ、双方が同一の生物のものではないかという仮説を立てた。

 もともと南米大陸にはタテガミオオカミというイヌ科の生物が湿地帯などに生息しているが、問題の頭骨や毛皮はタテガミオオカミよりもかなり大きな個体になるため、クルムビーゲル博士はアンデス山脈を生息域とする新種の大型のオオカミが存在するとして「アンデスオオカミ」と命名し発表したのだった。

 しかし、その後の調査でもアンデスオオカミの目撃例や標本は出てこず、1954年には毛皮の毛質の調査がなされ、オオカミどころかシェパードに近いイヌの毛皮であるとの結果が出てしまったのである。

 しかし、高地にシェパードが野生化して生息していたとは考えられず、結果は玉虫色のままとなっている。現代であればDNA検査なども考えられるが、頭蓋骨や毛皮は第2次世界大戦のどさくさで焼失してしまったそうだ。

 アンデスオオカミは毛皮などの標本が得られた時点で既に絶滅寸前の生物だったのかもしれない。しかし、化石などから生息していた痕跡を探し出せないかと調査している人は少なくないという。