今年のオールスター戦は史上初のスイングオフ(本塁打競争)での決着となり、全3本球をスタンドに運んだフィリーズのカイル・シュワバー外野手(32)がMVPに選ばれた。1年前、テキサスで行われたオールスター戦の主役はレッドソックスのジャレン・デュラン外野手(28)だ。5回に決勝2ランを放ってMVPに輝くと、スターの座を一気に駆け上った。そのデュランが心掛けているのはポップフライでも常に全力疾走することだ。

「ゴロでも、フライでも、打った瞬間にアウトになるだろうって分かることもあるよ。でも、(相手野手による)打球の処理がどうなるかは自分でコントロールできない。だから全力で走ってみるんだ」

 そう話すものの、「過去には全力で走らない自分もいた。それで、何か(相手の失策)が起こったこともあった」と反省点を認める。ところが一つの打球をきっかけに、常に全力でプレーするようになった。

「あれは去年、セントルイスで三塁へポップフライを打ち上げた時のこと。とにかく一生懸命に走って、それが三塁打になった。でも、もし一生懸命走っていなかったら、僕はただ、一塁ベースにいただけだった」

 そのプレーは24年5月19日、敵地セントルイスで行われたカージナルスとのデーゲームで起こった。3点リードで迎えた4回二死三塁で三塁後方へのポップフライを打ち上げた。ところが、太陽が目に入ったゴールドグラブ賞10度受賞の名手アレナドがまさかの落球。三走ラファエラが生還し、自身はヘッドスライディングで、誰もカバーしていなかった三塁を陥れた。

「フィールドで学べることはたくさんある。とにかく僕はハードにプレーするだけ。そして自分がチームのために何が出来るか。僕はいい選手ではないけど、もし子供たちにいい影響を与えられるものが少しでもあるのならうれしい」

 そう謙虚に話すデュランは単打なら二塁打に、二塁打なら三塁打しようとアグレッシブにダイヤモンドを駆け回っている。その結果、昨季はリーグ最多の二塁打48本と三塁打14本を記録。中堅右や右翼への単打コースを二塁打に、二塁打コースを三塁打にしたことは数えきれず、今季もリーグ最多の10三塁打、同2位タイの25二塁打を放っている。

 前半戦を10連勝で飾ったチームは地区優勝、プレーオフ出場を視野に後半戦に臨む。さらに勢いをつけるハードなプレーが期待されている。