“ネクスト・大谷翔平”になれるのか。異例のルートでメジャー挑戦を目指す投打二刀流の背番号11が奮闘を続けている。智弁和歌山高を卒業後、米ハワイ大学に進んだ武元一輝投手(20)だ。7月に行われたサマーリーグ最高峰の「ケープコッドリーグ(CCBL)」ではリーグ最優秀投手賞に選出。21歳を迎える来年からはMLBドラフトの対象選手となる。異国の地で若武者が追う夢はどこまで進んだのか。現在地と素顔に迫った。

米最高峰のサマーリーグCCBLで最優秀投手賞の武元一輝
米最高峰のサマーリーグCCBLで最優秀投手賞の武元一輝

 ――現在の立ち位置をどう考える

 武元 正直言って、通用しているなと思うんですけど、足りない部分も見えてきたというか。ずっとそうなんですけど、スプリットとかチェンジアップとか落ちる球はいいんですけど、もっと空振りが取れたらいいなと。(直球以外の)カット、スライダー、チェンジ、時々カーブも見せて抑えているんですけど、バリエーションを増やせたらもっとうまくいくと思う。(ただ、CCBLで)ある程度の結果は残せたのですごい自信になった。

 ――成長を感じる部分は

 武元 ストライク率も70%近くなりました。とはいっても、全てにおいてまだまだ未熟。トップレベルの選手と比べたら劣っているので、全てにおいてレベルアップできるようにやっていきたい。

 ――打球速度は100マイル(約160・9キロ)以上。大谷の動画もチェックしている

 武元 どの動画を見ても「えーっ!」みたいな。笑えるというか、すごいのひと言では収まらないです。大学で二刀流をしていくためにも大谷さんは見習っていかないといけないし、常日頃からメンタル面でも、技術面でもしっかりできるよう準備をしていきたい。

 ――留学を選んだのは高校1年時に指導に訪れたイチロー氏の影響も

 武元 すごく響いているのは「2つ道があったら厳しい方を選んでほしい。厳しい選択をしてほしい」という言葉。その時はあまり響いていなかったんですけど、今になってそのひと言が僕に考える機会を与えてくれたというか、その通りだなと。この夏だってどこかへ遊びに行く時間はありましたけど、日本でもハワイでも誘惑に乗らずに、今やるべきことに集中してやっていきたい。

 ――英語は

 武元(高校まで)全然勉強していなくて、何も話せなかった。(渡米前に)語学学校に通いながら、1か月半ぐらい箱詰めで勉強しました。あるテストがあって最初は40点くらい。90点以上を取れないと(大学に)コミットできないと言われていたので、めちゃめちゃ頑張って1か月半で95点を取ることができました。家庭教師も2人つけて、その期間はトレーニングはしていましたが、ボールは触らなかったですね。しんどさはありましたけど、やりたいことがありましたので。

 ――英語で勉強、宿題もある

 武元 めちゃくちゃキツいです。父がすごく厳しくて(中学までは)メニューも決められていました。全部、嫌々やらされていた。目的意識を持って取り組んでいたら、もっとうまくいったのかな。意識の違いでだいぶ変わる。父からは「自分からやれよ」って言われていました。高校では寮に入って洗濯から全部自分でやらなアカンようになって、親のありがたみが分かるようになった。でも、たまに親にも会えるわけで、まだ甘えていたところはあった。

 ――渡米して環境は激変

 武元 アメリカに来たら、ホンマに1人で考えてやらなアカン。そうじゃないと生きていけないので。そこで、周りを見るようになりました。それまでは全然、周りを見ていなかった。親が道を決めてくれていたので。
 ――今になって思う父の存在は
 武元 世界で一番大事な人。父はいつも(CCBLなど試合のライブ配信を)見ていて、多分僕より詳しいと思います。ケープでの活躍をすごく喜んでくれています。

 ☆たけもと・いつき 2004年4月9日、大阪市生まれ。右投げ左打ち。智弁和歌山では1年夏からベンチ入りし、2年夏は1試合に登板して21年ぶりの優勝に貢献。高校では最速151キロ、通算20本塁打。渡米後の最速は95マイル(約152.9キロ)。投手として先発2試合を含む17試合(33回1/3)に登板して3勝0敗、5セーブ、防御率4.59。打者として21試合で打率3割1分3厘(16打数5安打)、4打点。CCBLでは9試合(25回1/3)に登板して3勝1敗、防御率0.71で最優秀投手賞を受賞。188センチ、93キロ。