コロナ禍での大会運営はもめごと必至? テニスの全仏オープン男子シングルス準々決勝(9日、パリ)、世界ランク1位のノバク・ジョコビッチ(セルビア)対マテオ・ベレッティーニ(イタリア)戦で、前代未聞の怒号のハプニングが起きた。

 ジョコビッチのリードで迎えた第4セットの途中、夜10時45分に主催者は観客に帰宅要請を出した。新型コロナウイルス感染拡大防止のため、フランス政府は夜間の外出制限を実施。夜11時の期限が迫る前に、大会主催者は約5000人の観客を外に出す必要があったためだ。

 しかしオーストラリア「9ニュース」などによると、ファンは大ブーイング。失望した一部のファンは「私たちは支払った! 私たちは滞在する!」と歌を歌いながら拒否。「ぼったくり!」とフランステニス連盟を非難する声も上がった。執念深く居残り、絶対に動かない、とばかりにベンチに横たわる姿も。最終的に無観客になったのは、夜11時10分だったという。

 試合はジョコビッチ6―3、6―2、6―7(5―7)、7―5で勝利し、ベスト4に進出。ジョコビッチは途中でファンがいなくなったことに「奇妙な状況だった。ファンのエネルギーは特別なので、別のモチベーションを見つける必要がある」と話している。

 タイムオーバーが迫り、混乱が予想できる状況ながら、誰もが見たいジョコビッチの試合を詰め込んだ主催者側に、SNS上は非難の嵐。元テニス選手のレネ・スタブスは「もっと早く始めるべきだった」と指摘した。コロナ禍で行われる東京五輪。判断を誤ると、とんでもない災害が起きそうだ。