体操界の“ゴムまり娘”村上茉愛 東京五輪に誓う金の着地

2018年12月04日 11時00分

女子体操のエース・村上茉愛が本音を激白した

 床上を華麗に舞う“ゴムまり娘”が今、世界から熱い視線を浴びている。先月の体操世界選手権(ドーハ)の女子個人総合で日本人初の銀メダルを獲得した村上茉愛(22=日体大)だ。小学6年で床運動のH難度の大技「シリバス」を成功させた天才少女は、いまや2020年東京五輪の金メダル候補に成長した。来春からスポンサー企業2社の支援を受け、社会人として新たな門出を迎える美人アスリートを本紙が直撃。その宿命的な体操人生、東京五輪への思い、結婚観などを語り尽くした。

 ――村上選手はいまや全国区。ネットで「村上」と検索すると「村上春樹」より上にある

 村上:え? ホントですか。それはすごいですね! たまに街で声をかけようか迷っている方がいますが、私はむしろ来てほしい。皆さんホントに優しくて、電車では気を使ってスマホの画面にメッセージを打って、そっと見せてくれたり…。そういえば電車の向かいの方が新聞を読んでいて、外側の面に私の大きな顔が載っていたときは恥ずかしかった。誰も気づいてませんでしたが、すぐ逃げました(笑い)。

 ――話しているときの目と試合の目は全然違う

 村上:ハハハハ、よく言われます。初めてお会いした人の自分への第一印象は必ず「怖い」です。演技になったらガッと集中するので、切り替えた瞬間はたぶん怖い目になっていると思います。よく「怒ってるの?」って言われますよ(笑い)。

 ――子供のころから負けず嫌い

 村上:はい、どうでもいいゲームでも納得するまでもう1回!って感じ。勝っても気持ち良く終わらないと気が済まない。運動会でも絶対に1番になりたかった。保育園の時、親に「1位だったらお菓子を買ってあげる」って言われて2位になってずっと泣いたり、鉄棒の逆上がりができず悔しくて保育園の体育館でずっと練習していたこともありましたね。

 ――体操選手の血が流れている

 村上:小さいころは家の中で「着地止め大会」とかやっていましたよ。背もたれのない長イスがキッチンにあるのですが、それを平均台に見立ててポーズし、最後にジャンプして着地をバシッて止めるゲーム。母が採点して姉と点数を競っていました。着地が止まらなかったら「もう1回!」って成功するまでやっていましたね、ハハハ。

 ――着地の美学とは

 村上:一つの演技の最後なので一番大事。内村航平さんみたいにバンッて止まると「強い」って印象になる。演技の最中は目を開いているので、着地の直前に「これは止まる!」って確信するときがあるんですよ。それで止まるとすごく気持ちいい! 着地で感動したってよく言われますが、そんな採点の競り合いも見てほしいですね。

 ――何度も聞かれていると思うが、結婚願望や相手に求めるものは

 村上:あまり聞かれないですよ(笑い)。まあ、結婚願望はなくはないですね。25~30歳の間かな。遅くても30歳にはしたいですね。求めるものは…意外と真逆の性格の方が合うのかなって思います。以前は自分と似てさばさばしたタイプがいいって思っていましたが、それだと意外と長続きしなさそう。自分と正反対できっちりと考えるタイプの方がうまくいくかも。

 ――東京五輪まで2年を切った

 村上:正直、年齢的にそろそろ終わりかな、というころ。もう24歳になっている年なので…。女性は男性よりも競技歴が短いですしね。なので、東京五輪は体操人生の集大成のつもりです。

 ――結婚した後に「もう1回、現役で」は

 村上:いやいや、絶対にない(笑い)。海外では子供を産んで復帰する方もいますが、私は引退したら戻ることはないです。それくらい「今」に懸けているんです。本当は(五輪は)リオが最後のつもりでしたが、結果(個人総合14位、種目別床運動7位)に悔いが残ったので東京まで続けることにしました。だからこそ、悔いを残さず東京で終われるよう、すべてをぶつけたいと思っています。

【母・英子さん「私のDNAを持った分身」】世界選手権の活躍で勢いに乗る村上は、11月24日に行われた全日本団体選手権(群馬・高崎アリーナ)で日体大を5連覇に導き、学生最後の大会で有終の美を飾った。スタンドで演技を見守った母の英子さんは愛娘の幼少期をこう振り返る。

「本当に活発で個性あふれる子でした。赤ちゃんの時から力が強く、ハイハイも早かった。恐ろしいほど人懐っこくて、知らない人のヒザの上にも座っちゃうんだから」

 中学時代に体操部に所属していた英子さんは「もっと早くからやれば良かった」と後悔。中学2年で「絶対に自分の子をオリンピック選手にする」と決心した。「もう家の中が体操教室(笑い)。茉愛は自然と体操の道へ進んだ感じです」。母の願いは現実となった。

 卒業後も日体大を拠点に練習を継続させる村上は、寝具メーカー「マニフレックス」、自動販売機メーカー「八洋」から支援を受け、新たな体操クラブ設立も視野に選手生活の集大成を迎える。

 英子さんは言う。「茉愛は私のDNAを持った分身です」。自らの夢を乗せ、東京五輪で金メダルを取る娘の姿を思い描いている。

☆むらかみ・まい=1996年8月5日生まれ。神奈川県出身。2歳で体操を始め、小学校時代は「池谷幸雄体操倶楽部」に所属。小学6年で床運動のH難度の技「シリバス」(後方抱え込み2回宙返り2回ひねり)を成功させる。17歳の2013年世界選手権の種目別床運動で4位。15年世界選手権は個人総合6位。同年、日体大に進学。17年世界選手権の床運動で金メダルを獲得。4年生の今年、全日本選手権3連覇を達成した。床で華麗に弾む姿から愛称は「ゴムまり娘」。148センチ、48キロ。