トップジャンパーの素顔とは? 北京五輪のスキージャンプ男子でノーマルヒル金メダル&ラージヒル銀メダルの小林陵侑(25=土屋ホーム)が本紙の単独インタビューに応じた。アスリートとしての今後の目標のほか、ユーチューバーとしての〝野望〟などについても激白。「競技一筋」をストイックに貫くのではなく、趣味にも全力を注ぐ独自の生き方に迫った。


 ――北京五輪から4か月がたった。金メダリストになった実感は

 小林 いろんな仕事を通してもそうですし、普段からいろんな人が応援してくださっているので、すごく反響がありました。

 ――金メダルのご褒美は何を買った

 小林 絵を買いました。現代アートとかですね。今生きている人を、はやっている感じに表現するもので、シルクスクリーン(孔版画の技法の一種)ですね。絵が好きで前から家にあったらいいなと思っていたので、買いました。でも、あまり家にいないので見られていないです(笑い)。

 ――先月は宮古島で合宿を行った

 小林 ゆっくりと動ける体をつくっていこうかなと思っていました。これから夏はどんなジャンプができるか分からないし、道具とかも変わってくるのでどうなるか分からないけど、来季は札幌のW杯(来年1月20~22日)に出て、フライング(世界選手権)にも出られたらいいなと思っています。

 ――五輪メダリストのプレッシャーは

 小林 あまりないですね。

 ――結果だけにこだわっていないからか

 小林 王者だから頑張らないといけないとか、結果を残さないといけないなんてことはないですからね。確かにそう言われればそうですよね。

 ――故郷の岩手からは米大リーグ・エンゼルスの大谷翔平投手(27)など、多くのスターが生まれている

 小林 それめっちゃ、聞かれるんですよね。まあ、なんかパワーがある場所なんじゃないですかね(笑い)。

 ――小林選手は岩手県が運営するトップアスリート育成事業「いわてスーパーキッズ」の1期生だった

 小林 スポーツに重きを置いている自治体は少ないですし、スポーツは不変的なものじゃないですか。競技が減っていくことはあると思うけど、あり続けるものだと思うので、すごくいい取り組みだと思います。

 ――地元の活性化にもつながる

 小林 これから田舎はいろいろ大変になってくると思うので、どうやって田舎でも自立をしていくか、どんなコンテンツをつくっていくかが大事になると思います。

 ――師匠でレジェンドの葛西紀明(土屋ホーム)は50歳になっても現役を続けている

 小林 50歳まで楽しみで飛ぶぶんにはすごくいいけど、第一線で活躍するための練習をして、第一線で活躍したいと思わないですね。

 ――何歳まで現役を続けたいのか

 小林 とりあえず今、2030年の札幌五輪を招致しているので、そこまではやりたいですね。自国開催での金メダルは夢ですね。

 ――趣味のゴルフの調子はどうか

 小林 コースに行ってばっかりでなかなか練習ができていないので、練習をしたいですね。スコアは、だいたい100ぐらい。ゴルフ歴は社会人になってから始めて7~8年ぐらいになるので、100は切れるんですけど、目標は80を切りたいですね。

 ――ユーチューブでコラボしたい有名人は

 小林 人気歌手のジャスティン・ビーバーですね! 超無理かもしれないですけれど(笑い)。

 ――スキージャンプが好きなお笑いコンビ「ぺこぱ」の松陰寺太勇とは

 小林 スキー場でのコラボもありですし(ユーチューバーの)コムドットとかも面白そう。年代も一緒なので。

 ――最後に小林選手が思う理想の生き方とは

 小林 理想は、まあジャンプをいい感じで続けていけたらいいなと思います。

【〝ゾーン〟に入るための脳波トレ】小林は9日、都内で行われた「一緒に学ぼう!LIFULL『しなきゃ、なんてない。』ライブラリー」開催記念イベントに出席した。トークセッションでは「練習量も重要だと思うけど、頑張りすぎなくていいんだと気づけるようになった」と意識の変化を明かした上で「脳波トレーニングでメンタルの成長を図っている。競技をイメージして、なるべく〝ゾーン〟に入った状態で試合に臨めるようにしている」と独自の練習法を語った。

☆こばやし・りょうゆう 1996年11月8日生まれ。岩手県出身。2018―19年シーズンのW杯第2戦で初優勝を果たすと、年末年始に行われる伝統の「ジャンプ週間」で、史上3人目となるグランドスラムを達成。さらにW杯で13勝を挙げ、日本人初の総合優勝を達成。21―22年シーズンは北京五輪ノーマルヒル金メダル、ラージヒルでも銀メダルを獲得。W杯でも8勝をマークし、3季ぶり2度目の総合優勝。紫綬褒章を受章した。174センチ、59キロ。