コロナ氷河期を乗り切る「世代別ポイント」

2020年11月01日 10時00分

前川孝雄氏著「コロナ氷河期」

【俺たちの働き方改革】コロナ禍による解雇や雇い止めが増え、今月2日に発表された総務省統計局「労働力調査」によれば、完全失業者は206万人に膨れ上がった。未来に暗雲が垂れ込める中で我々はどのように働けばよいのか、「コロナ氷河期」(扶桑社)の著者で、人材育成を手掛ける㈱FeelWorks代表の前川孝雄氏(54)に世代別のポイントを聞いた。

 専門家の間では既に、コロナショックは少なくても2009年に発生したリーマンショックを上回る被害をもたらすと言われているという。

「リーマンショックはグローバルな金融危機で、金融業から製造業へと拡大しましたが、一方で内需型のサービス業は大きなダメージを受けませんでした。また、中国経済の急成長など景気が好転する材料もありました。ところが、コロナショックは実体経済を直撃している上に今のところワクチンや特効薬のめども立っていないので出口戦略がとれない。さらに雇用の受け皿となってきたサービス業に体力がもうほとんど残っていないので、空前の大失業時代が目の前に迫っているのです」(前川氏)

 コロナをきっかけにリモートワーク導入が一気に進むことは労働者にとって悪くないように見えるが、その先の未来に何があるかを理解しておかないと正社員とて失業の危機にさらされる。

「リモートワークを導入すると、机に座っている時間=労働時間ではないことに企業が気付き始めます。その結果、業務のスリム化や生産性を高める方向にシフトし、経営層は『そもそもこんなに従業員は必要ないのでは?』と思い始め、コロナ氷河期ではまず、上司の顔色をうかがうだけの40代半ばから50代のヒラメ社員は淘汰されていくでしょう」

 それでは、コロナ氷河期を生き残るために必要となるポイントを世代別に見ていこう。

【40代】いわゆる就職氷河期世代は非正規雇用者が多いのも特徴。これまで煙たい存在であったバブル世代の上司や先輩が一掃されれば、活躍のチャンスも開けるはずだが…。

「若手と同じスキルしかなければ“肩たたき”のターゲットになりかねません。また新卒入社でひとつの職場で20年近く働いていると、キャリアが停滞するタイミングでもある。そんな世代に必要なのは青臭い志と腹黒い戦略を併せ持つ“青黒さ”です。高い理想と計算高さを両立するスキルは必須といっていいでしょう。また、従来のように『指示・命令』で部下を動かすのではなく、『共感・支援』で部下の心を動かしていけるといいですね」

 社会的弱者の非正規はどうしたらよいのか?
「私が人材育成の会社を立ち上げてずっと言い続けているのは、『ご縁』と『お役立ち』によって未来は開けるということ。キャリアの8割は偶然の出来事によって形成されているという理論があります。そのカギとなる偶然性を引き寄せるのは好奇心、持続性、柔軟性、楽観性、冒険心の5つ。まだまだ続く人生、望みを捨ててほしくはありません!」

【50代】年功序列や終身雇用を信じて入社したこの世代はリモートワークの波にも乗り遅れがち。ある意識調査では、部下が人間関係のストレスがなく気楽になった一方、人とのコミュニケーションが少なくなり寂しさを感じている管理職が多くいたという。

「リモート環境で“働かないおじさん”が可視化されてしまいました。だからといってすぐに会社を辞めてもセカンドキャリアは築けません。給料を維持したいというだけの動機で採用してくれるほど他の企業も甘くありません」

 会社を辞めたらタダの人…。では活路はどこに?

「10年後に独立することを視野に入れて準備を始めましょう。一獲千金ではなく、サラリーマン時代の年収を目標にコツコツと稼ぐビジネスです。定年後に自分のやりたいことを聞かれて即答できない人は、まず自分の内なるモチベーションを引き出すところからですね。会社に籍を置きながら副業を始めるというのもアリです」

【20代】50代に比べれば成長意欲が高い20代だが、コロナ氷河期によって磨くことが難しくなるスキルがあるという。

「今年の新入社員が従来のような新人研修を受けられなかったように、リモートワークが増えると、上司や同僚と接する時間が圧倒的に減ります。その結果、人を巻き込んだり動かしたりするヒューマンスキルが鍛えられず、知識はあるけど…という頭でっかちな人材が出てきてしまいかねません。会社に依存しないためには社会人としての基本的なコミュニケーション力や論理的思考力をしっかり身につけ、その上でどんな企業でどんな経験を積んで専門的なスキルを磨いていくかの戦略的視点を持ち続けましょう」

【取材後記】対面での教育研修を展開していた前川氏の会社も新型コロナの影響で中止やキャンセルが相次ぎ、苦境に立たされた。

 それでも前川氏は「この本を書きながら、自分も変わらざるを得ない、前に進んで不幸中の幸いに持っていくしかないと思った」と気丈に語った。コロナ氷河期では“働くこと”を諦めない姿勢が何より大切だと教えられた。

 ☆まえかわ・たかお 1966年、兵庫県明石市生まれ。大阪府立大学、早稲田大学ビジネススクール卒業。リクルートを経て、人材育成の専門家集団㈱FeelWorksを創業。2011年から青山学院大学兼任講師。17年に㈱働きがい創造研究所を設立。

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