米WWEの総帥ビンス・マクマホン氏(76)が引退を表明したことを受け、さらなる波紋が広がっている。

 ビンス氏は22日(日本時間23日)に「77歳に近づき、WWEの会長兼CEOを退く時期が来たと感じている」などと声明を出し、引退を発表した。今後は「大株主」としてWWEを支えていくというが、引退表明の背景には一連の「不倫スキャンダル報道」があったことは言うまでもない。

 米経済紙「ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)」が今年6月に、ビンス氏が不倫関係にあった元従業員に300万ドル(約4億円)の〝口止め料〟を支払ったとされる問題を、WWEの取締役会が調査中と報道。大きな注目を集めたが、ビンス氏は特別委員会の調査に委ね、会長とCEO(最高経営責任者)の座から離れることを表明した。

 だが、米メディアには、ビンス氏が会長兼CEOを退任しても、WWEの「大株主」であることや、娘のステファニー・マクマホン氏が同職を引き継いだことにより、総帥の影響力に変わりはないとの見方があった。それを大きく覆したのが、〝WSJ砲〟の追撃だ。

 WSJ紙は今月になって、ビンス氏が「性犯罪と不倫の疑惑を隠蔽するため」に〝口止め料〟として過去16年にわたり、WWEに所属した4人の女性に1200万ドル(約16億円)を支払っていたと報じた。初回の報道から対象者が4人に増え、〝口止め料〟も4倍の巨額に膨れ上がったことから、さらなる大騒動になった。

 しかも、4人の中には女子の元選手が含まれており、ビンス氏はこの元選手にセクハラを繰り返していたとし、元選手から拒否されたことで同選手を降格させて2005年に選手契約を更新しなかったとも報じられた。その元選手への〝口止め料〟は750万ドル(約10億円)とされており、衝撃を持って受け止められていた。

 米メディアによればこの続報も、ビンス氏に大きなダメージを与えた。WWEはニューヨーク証券取引所に上場しており、株価への影響を避けるため、ビンス氏が引退を決断したのでは…との臆測もある中「ビンス・マクマホンの引退発表を受けて、WWE社の株価は、株式の売買高が少なかった時間外取引で、顕著な変化はなかった」(CNBC)と伝えられている。
 
 WWEを世界一のプロレス団体に育てたビンス氏だが、その幕引きはショッキングなものとなった。